世界三大投資家の一人として、コメンテーターとして今なお精力的に活動されておられる、『冒険投資家』ジム・ロジャーズ氏が、この度著書を出版されたということで、最近は彼のインタビュー記事を目にすることが多くなっています。高頻度でネタを供給してくださるロジャーズ氏には、厚く御礼を申し上げたいところです。
さて、そんなジム・ロジャーズ氏が、今回も投資家に向けて非常に学びとなる情報を発信してくださっています。

ジム・ロジャーズ氏いわく、今をときめく『GAFAM』などの銘柄はすでに割高で、「本格的なベア相場に突入すれば、アマゾンやアップル株は50%から80%は下がるとみている。」とのことだ。
アマゾン・ドット・コム(AMZN)や、アップル(AAPL)と言った米国の超巨大IT企業は、2月から3月頃にかけての一時的な株価の下落にも負けず、すでに最高値圏近辺まで株価を戻しています。


彼らがここから50%から80%の大暴落をするとロジャーズ氏が言っている限り、株価は上昇するのではないかと言う変な安心感さえあります。今回のコロナショックでもそれほど大きな影響がなかったGAFAMの時価総額は、もはや東証一部上場企業のすべての時価総額を超えるまでに成長しています。

もしGAFAMが今から半値以下にまで暴落すれば、確かにそれは米国株市場に多大な影響を与えることは間違いありません。S&P500への投資も、そのほとんどはGAFAMへの投資と言えますから、インデックスファンドすらも大暴落してしまうことになります。
ですが安心してください。ロジャーズ氏が「暴落する」と言っている間は、本当に劇的な暴落は起こらないのではないかと感じます。彼の逆神ぶりは今や有名です。ここ数年で最も暴落したのは、ジム・ロジャーズ氏ご本人の株だと私は感じます。
そんな逆神、ジム・ロジャーズ氏はインタビューでこのように発言しています。
「簡単に言えば、『一番やられたもの』を買うべきだ。現時点では、航空会社が一番だろう。またレストランやホテル、観光関連、海運も含めた運航関連会社も、壊滅的なダメージを被っている。相場が上昇期に入った際には、そういった産業に一番大きなラリーが訪れる。他には農業銘柄も買えるだろう」
『投資の神様』ウォーレン・バフェット氏が航空会社に対して弱気になったことは、大きなニュースになりましたが、ロジャーズ氏は航空会社に強気の姿勢だそうです。

バフェット氏もロジャーズ氏も逆のことを言っているようで、ロジャーズ氏が天邪鬼であることを考えれば、航空会社株がしばらくは投資冥利を感じない銘柄であると言うことは明らかなようです。
だが、ロジャーズ氏がしきりに航空会社とアジアの観光業を推しているのは、彼の投資先が関係しています。
ロジャーズ氏は「2018年に大韓航空株を買った」と発言しており、それを2019年の初頭にインタビューで回答していました。
では肝心の大韓航空株がどうなったのか、確認してみましょう。

大韓航空はすでに目的地に到着したのでしょうか?どんどんと高度を下げているように見えますね。
ジム・ロジャーズ氏が大韓航空を買ったと言う話が世に出た2019年の初頭には3万5千ウォン程の値をつけていた同社株は、現在ほぼ半値となる水準まで下落しているように見受けられます。
彼が今も大韓航空に投資しているのかはわかりません。むしろ、彼が今も投資をしているのかどうかは怪しいところですが、彼の買ったと言う発言からわずか1年ほどで株価を半値にまで暴落させる神通力の凄まじさを感じることができるでしょう。
もちろん2019年の初頭にはコロナウィルスが猛威を振るうことなんて誰にもわかりませんでしたが、大韓航空株の2019年の値動きを見ている限り、大韓航空株に積極的に投資ができないのは、コロナショックによる影響だけではないなと言うことがわかります。
そもそも、大韓航空と言えば、6年前に起きた、創業者一族によるパワハラ事件『ナッツ・リターン事件』がありますが、大韓航空の創業一族である趙一族は、この後『ナッツ姫』の父親であるチョ・ヤンホ氏が背任と横領の容疑で在宅起訴されていた直後に急逝したことも話題になりました。
亡くなった方を悪く言うつもりはありませんが、創業者一族と言うのは「会社を私有化」することが多く、大韓航空がこのような事件や不祥事を連発するあたり、特に私有化が顕著だったんじゃないかと見受けられます。
それだけでなく、中国や韓国は賄賂ありきで成り立っている国なのですから、投資先として信用できるとは思えません。
米国でもCEOの不祥事が無いとは言いませんが、不祥事が起きればいかなる大企業でも、取締役会が即断でCEOの首を飛ばすことがあるのが米国が信頼できるところです。記憶に新しいところだと、昨年11月、米マクドナルド(MCD)の有能なCEOだったスティーブ・イースタンブルック氏が従業員女性との『濃厚接触』で解雇されました。

彼は着任以降、低迷していたマクドナルドの窮地を救い、わずか4年ほどで株価を2倍にまで成長させた名君だったのですが、そんな彼もマクドナルドの持つファミリー層向けの『ブランドイメージ』を毀損すると言うことで、即刻クビになりました。
今のコロナショックでマクドナルドも苦境に立たされていることを考えれば、イースタンブルック氏は美味しい思いをして、良いタイミングでクビを切られたとも言えますが、マクドナルドが少なくとも信頼できる企業であり、取締役会がきちんと昨日している優良企業であると言うことは確認できました。
このように考えると、やはり中国や韓国への投資よりも米国への投資の方が、投資家目線で言えば安心できると言えるんじゃないかなと私は思います。
もちろん、アマゾン・ドット・コム(AMZN)や、アップル(AAPL)と言った企業の株が割安だとは思っていません。今の水準で全力買いして放置しておけ!と言えるほど安心できる水準では無いとは思います。
ですが、新型コロナの影響を受けるより以前から、現在に至るまで世界中の人々が、自宅でiPhoneを使ってAmazon.comで通販を楽しんでいる限り、アマゾン・ドット・コムやアップル株の方が、相対的に見れば投資先として優良であるのは疑いようの無い事実かなと私は思います。
ジム・ロジャーズ氏が強力な神通力でさらなる株価の押し上げを見せてくれるのか。これからも注視していきたいと思います。