世界三大投資家の一人『冒険投資家』として知られるコメンテーターのジム・ロジャーズ氏は、なぜか今年に入ってからまともなことを言い始めています。

ここ数年は『逆神』として確かな実力を発揮してきた彼がまともなことを言い出したために世界的な株価の下落が始まったのだろうか?とすら思えるほどです。もちろんいまだに中国や韓国、最近ではロシアに熱を上げているなど、理解不能な面もたくさんありますけどね。
そんな彼が日経ビジネスのインタビューにて、新型コロナウィルスの影響はこれからだとしながら、いつもよりは幾分マトモなことを言っているように見受けられました。

この記事の中でジム・ロジャーズ氏は新型コロナの件はきっかけに過ぎず、株価があまりに長期にわたって上がりすぎたら、やがて下がるのは必然だ。と述べ、
「これは強調しておきたいのだが、今回だけは違うというようなことには、決してならない。歴史に今まで起こらなかったことなど、決してないからだ」
と、至極真っ当なことを言っている始末です。どうしたんだジム・ロジャーズ!これじゃまるで、投資家みたいじゃないか!
そしてさらに今回の騒動は『新型コロナ・ショック』なのか?という問いに対して、こうも続けます。
「いや、違う。これは誇大な危機、騒ぎすぎ危機だ。過剰反応ショック。世界中が新型コロナウイルスを大げさに騒ぎすぎた結果、起きた経済危機だ」
「よく考えてみてほしい。米国では毎年、4万人がインフルエンザで亡くなっている。毎年だ。でも、国民はパニックにならない。世界中でいえば、何十万人も毎年亡くなっている。だから、新型コロナは新しいインフルエンザみたいなものだ。未知だから、それがパニックを引き起こした。しかも新聞やインターネットはこういう話題が大好物だ」
「だが、パニックに陥るようなものではない。新型コロナウイルスでは亡くなったのは数千人だ。中国ですら、14億人のうち約3000人が亡くなった状態だ。しかも亡くなっている人の多くは既に持病のある高齢者が中心で、大げさすぎる。ヒステリー状態だ」
「とはいえ、クレイジーなことが実際に起こってしまったのは事実だ。米国は国境を閉鎖し、空港を閉鎖した。おかしなことが起こっているのかもしれないが、今後それが起こった余波がどのようなものになっていくかを理解し、対処しなければいけない」
「繰り返すが新型コロナウイルスにより起こったパニック自体は間違った危機であるし、そもそも不必要な危機なのだ。だがそう私が言い続けたところで、人はパニックが好きだから、混乱は収まらないだろう。パニックになると、人は我を忘れる」
今まで訳分からないことを述べていた人とは別人のように、まるで歴戦の投資家のようなコメントを残しているあたり、今年のジム・ロジャーズ氏は一味違うぞ!と感じさせてくれます。
そしてジム・ロジャーズ氏がとても良いことを言ってくれました。
「絶対、この混乱の陰でもうけている人間がいる。日本語の『危機』の漢字は、『危険』と『機会』を意味する。つまりはこの危機はチャンスでもある。」
これはさすがの一言です。いやはやこれは世界三大投資家ですわ。久々に世界三大投資家っぷりを見せてくれたジム・ロジャーズ氏に敬意を表したいと思います。
今の相場においても、ネット通販のアマゾン・ドット・コム(AMZN)や、衛生用品なども扱っている、生活必需品のプロクター・アンド・ギャンブル(PG)、そしてAmazon以外にも、ウォルマート(WMT)、コストコ・ホールセール(COST)などの小売業などは順調な株価成長を見せているし、さらに今後期待されるのは、ヘルスケアや製薬、そしてテレワークを実現させてくれたハイテク産業だと見受けられます。
こういう将来有望な企業たちも市場環境の悪化という下らない理由で叩き売られるのが今の株式市場です。ということは、将来性がある個別株も割安で手に入れることができるチャンスであり、まさに今の株式市場は『危険』と『機会』が混ざり合っている、『危機』的な状況と言えるのではないでしょうか?
危険をしっかりと把握した上で、機会を逃さずにコツコツ積立投資をしていくという力がもっとも試される相場と言えるのではないでしょうか。
そしてジム・ロジャーズ氏は、今回の新型コロナショックによる影響をこう語る。
「多くの企業が経営破綻することだろう。だがこれは、競合にとっては朗報だ。つまりは優勝劣敗が進む。こうした局面では、誰が得をするのか、よく考えてみることだ。そして投資を考えるのなら、自分自身になじみのあるものにだけ投資すべきだ。景気が悪い時に私のような他人の意見を聞くべきでない」
このような不景気時に我々投資家として喜ぶべきところは、今回の騒動によって体力のない企業たちは倒産し、生き残った超巨大企業はそれこそ本当に投資冥利があると言えるかもしれないというところです。
そのために、ジム・ロジャーズ氏も自分自身になじみのあるものにだけ投資すべきと言っているように、私も投資の原則として自分になじみのある大型優良株のみに投資するようにしていますが、それを続けた結果、今でもなんとか含み益を享受することができるまでになりました。

そして投資をする時、景気が悪い時は、他の投資家の意見を聞いて投資先の判断をすべきではないという意見にも大賛成です。
ジム・ロジャーズ氏が珍しく良いことを言っているので、もしかしたら株式市場はまだまだ下がる可能性も捨てきれませんが、彼が今回の記事で語ったとされる内容も踏まえて、どれも間違ったことは言っていないような印象を受けました。
結局こういう相場で大切なのは、
人の意見に流されず、自分自身に馴染みがあり、誰もが知ってる有望な銘柄に投資し、ピンチにこそ大きく動いてチャンスに変えていくだけのリスクを負うという点です。
ジム・ロジャーズ氏がたまには良いことを言ってくれるもんだなと思いますが、まだまだ底はここから先になるんだろうなという不安は頭をよぎります。
ですが大丈夫です。まだ株価が下がるならそこで再び株を買えばいいだけなのですから。皆さんもどうか狼狽売りをすることなく、今回の危機を乗り越えていきましょう。