AFP通信によると、米国トランプ大統領は13日、新型コロナウイルスの流行を受け、国家非常事態を宣言し、感染拡大の防止に向けて500億ドル(約5兆4000億円)の連邦資金を投入すると表明した。

その他にも経済的影響を軽減する措置として、戦略石油備蓄(SPR)のための原油を大量購入する意向を表明。連邦政府機関が貸し付ける学生ローンの利息を免除する措置も発表しました。
この発表を受けてNYダウは猛反発。前日比1,985ドル、比率にして9%を超える上昇となりました。

当然これは過去最大の上昇幅となり、今月2日に記録した過去最大上昇幅の+1,293.96ドル(前日比5.09%)を大きく超えてくることとなりました。
私自身も一晩ではおそらく過去最高となる200万円を超える上昇を経験しました。キャッシュポジションを含めると、再びアッパーマス層への入り口が見えてきたことになります。

12日の木曜日になんとかSBI証券に繋げながらも行った買い注文が奇跡の底値買いとなるのでしょうか?

いやいや。まだまだ週明けには下がるよという見方もできます。そもそも、『非常事態宣言』自体は喜ぶべきことでもなんでもないですからね。
ですが、今回の経済対策はさすがは米国、規模が違います。投入資金も500億ドル(約5.4兆円)と莫大ですし、学生ローンの利息免除もかなりの影響が見込まれます。
仮に学生ローンの金利が2%だとして、学生ローン債務の総額は1兆5000億ドル以上(約162兆円)と言われているので、1年間の免除でおよそ300億ドル(約3.2兆円)の免除となりますからね。
さらに原油の爆買いは、サウジアラビアの増産に対抗する手段として、原油価格の安定と上昇を狙ってのことでしょう。これが上手くいけば、エクソン・モービル(XOM)をはじめ、シェブロン(CVX)などの石油メジャー各社が息を吹き返すかもしれませんね。
このような大規模な対策が取れるという点が米国の強みであると言えます。さらに言えば、米国は500億ドルもの莫大な資金を市場に流通させても問題がない『米国ならではの強み』を持っています。
それは、米ドルが『基軸通貨』としての機能を有しているという点です。極端な話をすると、基軸通貨である米ドルはいくら発行してもハイパーインフレが起きないと言ってしまって過言ではないのではないでしょうか。
例えば、米国はリーマンショックの際にQE政策と称して、FRBが政策金利をゼロ近辺まで下げた上で、2兆ドル以上の米ドルを市中経済に供給し、米国債やMBS(住宅ローン担保債券)を爆買いしました。ですが、米国では2兆ドルを市場にばら撒いたのに深刻なインフレが起きなかった。
それはなぜかと言うと、基軸通貨である米ドルで取引をしているのがもはや米国だけではないからです。
突然ですが、あなたはモンゴル国の通貨の名称をご存知でしょうか?モンゴルの正式な通貨はモンゴル・トゥグルグ(MNT)という通貨になります。ですが、モンゴル国内で流通している通貨は圧倒的に米ドルの方が多いです。むしろ米ドルで取引した方が喜ばれます。
日本に住んでいると、あまり想像できないかもしれませんが、海外の多くの国、特に政治が不安定だったり国力が弱い国では、米ドルでの取引が日常的に行われています。
日本はなんだかんだ言って世界3位の経済大国。内戦や戦争に巻き込まれるリスクも低い上にクーデターなども起きづらく、相対的にリスクが低い=通貨価値が安定している国として世界中に認識されています。米ドル、ユーロに加えて日本円が三大通貨の一つに加えられる理由がそのためです。
例えば日本のお札は『日本銀行券』という正式名称があるように、国が発行しているものですから、通貨の信用度は国家の信用度に直接つながることになります。
そして、もちろん米国の米ドルという通貨は基軸通貨として世界中で『価値あるもの』として信用されています。だから世界中での取引に利用されています。
世界中で米ドルを使った取引が活発に行われているということがどういうことかというと、米ドルの大量発行によって、本来であれば米国が受けるはずの物価上昇(貨幣の増加によるインフレ)を、同じく米ドルを使って貿易をしている世界中の国に、輸入価格の上昇という形で押し付けることで広く遍く負担させることができるのです。
日本円であれば、経済対策として貨幣を刷りまくったら、国内で貨幣を消費せざるを得なくなり、結果として物価が上昇してしまうわけです。
以前、従業員の給与を2倍にしたら結果的に物価も2倍に収斂していくという記事をあげたところ、大変好評をいただきました。

このように、日本国内でしか基本的に消費できない日本円は、あまりに多く刷りすぎると、物価の上昇を招いて結局はハイパーインフレを引き起こすしかないのです。
ですが米ドルは発行した米ドルを世界中に流通させることで国内のインフレを安定させることが可能です。なぜなら基軸通貨として、米ドルが圧倒的に強い立場にあるからです。だからこれほど大規模な経済政策が取れるとも言えます。
米国では、国は非常事態に大金を市場に流通させて安定を図るという施策に思い切ることができるし、個別企業は、安定した営業利益を背景に、債務超過を恐れずに株主へ還元しようとしてくれています。

対して、日本はそれほど大胆な経済政策に打ち出すことができず、日本円はいざという時の逃げ道にしか活用されていません。さらに日本企業は景気後退を恐れてさらに内部留保を強めることでしょう。
果たして米国と日本を比較したとき、どちらに投資した方が将来性が高いと感じるでしょうか?私ならやはり米国一択なんじゃないかなと感じます。
トランプ氏がもし大統領に再選した場合、あまり良い気はしないのですが、今の候補者を見ている限りだと、トランプ氏の再選が一番株主にとってはメリットがあるんじゃないかなと最近思えてきました。
まあ、新型コロナがどうなろうが、大統領が誰になろうが、長期的に見れば米国はこれからも右肩上がりに成長するのでしょう。我々にできることは米国一択でこれからも投資を続けていくだけですね。