今週は米国株投資家にとって、久々の試練となる1週間だったのではないでしょうか?私も当ブログを立ち上げてからの経験では初めての下落相場となりました。
S&P500指数が10%の下落をするのにかかった時間としては過去最速だそうです。

NYダウも連日1,000ドル単位で下落していましたしね。確かに総悲観になる気持ちも分かります。
ただ、インデックス投資家と呼ばれるS&P500指数に連動するETFや投資信託を解約する方も多かったようで、とても残念だなと感じている今日この頃です。
もちろん投資家として生き残るためにも、一度持ち株を整理して市場から離れるという選択肢を否定する訳ではありません。
個人投資家がどのタイミングで株の売買をしようが基本的には個人の自由ですからね。ただ、株価が暴落している時こそ『買い』であることを考えると、どうしてももったいないタイミングなように感じてしまいます。
今週末は天気も良くお出かけしたいところですが、不要な外出はなるだけ避けるよう注意喚起されており、自宅で時間がありましたので、あるシミュレーションをしてみました。
それは、リーマンショック直前からS&P500に連動するインデックス商品への投資を
・毎月コツコツ継続してきた場合
・積立投資をするものの、ある一定のルールを設けて売買する場合
でどの程度リターンに差があったのかというシミュレーションです。ちなみにシミュレーションのための投資期間は、リーマンショック直前の2008年1月から、S&P500指数が2008年初頭の水準に回復してきた2012年9月という、まさにリーマンショックの最中の期間を採用いたしました。
今回のシミュレーションでは、2008年時点で設定されていたS&P500指数に連動するETFである『iShares S&P 500 Index(IVV)』を検証対象にしました。
IVVに対して毎月500ドルを積立投資をした場合と、同じく積立投資をするものの、前月比で10%の下落をした場合に全て売却し、その後、前月比10%以上上昇するか、もしくは、売値を超えた段階で買い戻しするかした場合での比較となります。
ちなみに、今回の検証にあたって、計算を簡略化するために
・500ドルはちょうど使い切れることとする(端数株も購入可能)
・毎月の買付は毎月第1営業日の始値とする
・前月比10%の増減の判定は、買付をするタイミングの毎月第1営業日の始値とする
・手数料、税金などは考慮しない
・分配金、諸経費なども考慮しない
というルールにしました。それではシミュレーション結果をご覧ください。
・IVVへ毎月500ドルずつ投資した場合

・下落時に売却し、復活したところで買い戻しした場合

スマホでご覧の方には少し見づらいかと思いますので、結果を書きますと、毎月コツコツ積立投資をしていた場合2008年1月〜2012年9月までの期間で34,935.95ドルになったのに対し、タイミング投資をした場合、同期間で32,309.29ドルにしかならず、金額にしておよそ2,600ドルの差が生じることとなりました。しかもこれは分配金を含んでおりませんので、分配金の再投資を行えばさらに差額は広がることでしょう。
そして今回のシミュレーションでは、株価の暴落時には、前月比10%の上昇となったタイミングは無く、もしこのようなルールで自分の投資行動を縛っていたとすれば、2008年10月に、前月比10%を超える下落を経験してから、2010年の4月に売却した水準に株価が回復するまで、およそ1年半もの期間、買い戻しのチャンスが訪れなかったということがわかりました。その間はずっと500ドルずつ投資用の待機資金を貯金するだけの生活となり、暴落の底値の最も安い水準で積極的に買い増しをすることができなかったことがリターンに差を生じさせた原因と言えるでしょう。
今回、相場から離れてしまった投資家の方が、一体どのタイミングで買い戻しをするつもりなのかは不明です(もしくは、そのまま戻ってこない可能性もあります)が、少なくとも底値のバーゲンセールで買い戻しすることは、心理的にも難しいと言えるでしょう。
そこで本領を発揮するのが、インデックス投資の本来のあるべき姿である、毎月一定額をコツコツコツコツ淡々と積立投資することなのではないでしょうか。
そして何より、今の下落相場で持ち株を処分してしまった方には、知らない間に自分のリスク許容度を超える投資をしてしまっていたことを次に活かしていただければなと感じます。
基本中の基本ではありますが、株式投資をするための原資は、あくまで余剰資金としてください。生活に必要なお金まで突っ込むことがないようお気をつけください。
まだまだ人生は長く、あなたの投資家としてのキャリアはここで終わりという訳ではありません。ここで一旦リタイアしてしまった投資家の皆様も、いつの日か株式市場に戻ってこられることを期待しております。
そして、今も生き残っている個人投資家の皆様には引き続き、長期積立投資を継続していただきたいなと私は考えています。
もちろん、まだまだ下落が続く可能性もあるため、すぐに全力買いするべきでも無く、少額投資を淡々と続けるのがベストなのではないでしょうか。
先の見えない恐怖はあるかもしれませんが、そもそも株価が上がろうが下がろうが、先は見えないものです。
先の見えない我々は、過去に学ぶより他なく、その過去が教えてくれるのは米国株が長期的に成長し続けてきたという事実です。
だからこそ、リスクをしっかりと認識し、株式市場に居残り続けるということが我々が豊かな将来を送るための適切な行動と言えるのではないでしょうか。