先日、私Yukiは、前職の元上司と食事をする機会がありました。私が前職を辞めた理由は、業績不振によってボーナスがカットされたりなど、想定通りの収入が得られなくなったことと斜陽産業でこれから回復する見込みが無いというのが主な原因ですので、人間関係はおおよそ良好でした。
そのため、退職後も前職の部長たちや、同僚が東京に出てくるたびに食事したりする程度には仲良くさせていただいてます。
私が辞める直前の上司は、東京の一等地出身のおじ様で、リアルにバブルを経験してたんだろうなーというチャラい方で、前職でも、
『Yukiちゃぁ~~~ん 今ヒマ~? ランチ行こうよー!』
というようなノリでお誘いいただくことが多かったです。嫌味ではなくチャラさが様になっていて面白くて相談しやすい良い上司でした。
そんな彼と楽しく食事していたのですが、珍しく神妙な面持ちで、株についての話をしてきました。ちなみに、彼ももちろん私が株式投資をしているのはご存知です。
元上司『Yukiちゃん。もうすぐ(持株会加入の)期限だけど、持株会入んないの~?』
Yuki『はい。自分で運用した方がリターンが大きくなるので~(斜陽産業に投資なんてできないとは言えない)』
と言うやり取りを何度も繰り返していましたから、私=株式投資というイメージが成り立っていたのでしょう。
初めて見るかもしれないくらいの真剣な表情で、
「いや、実際さ。Yukiちゃんの判断が正しかったと思うわけよ」
と切り出してきたので、「急に何の話ですか?」と聞くと、私が持株会に入会しなかったことと、転職のタイミングがこれ以上ないグッドタイミングだったと仰るのです。
私も風のウワサで聞いてはいましたが、私が退職した後も財務経理部からの退職者は後をたたず、私がいた当時のメンバーはすでに3割ほどしか残っていないとのこと。わずか2年ほど前に退職したというのに、そんな惨状になっていたのです。
というのも、業績の悪化がいよいよ末期…というところまで進行し、当時から自転車操業でやり繰りしていたものの、それも限界まで行き詰まった状況とのこと。
あまり詳しくは書けませんが、株価も業績不振に反応し、ピーク時の半値なんてかわいい下落では済まされないほどの暴落ぶりを見せています。
前職では持株会に加入すれば、5%のインセンティブを付けてもらうことが出来たのですが、株価が半値以下にまで落ちた現状、5%程度のインセンティブなど焼け石に水。持株会を通じて保有していた元上司の株の評価額は見るも無残なマイナス状態になっているということです。
また、勤務先の株を買うということは、あなたの給与の発生源と投資先が一致しているということ。つまり自らの資産を『一点集中投資』していることになるのです。
私の上司のように勤務先の経営状態が不振となれば、給与は削減、ボーナスはカット、株価も上記の通り目を覆いたくなるようなマイナスと踏んだり蹴ったりの状況に陥るのが関の山である。
もちろん、あなたがGoogleやマイクロソフトにお勤めであれば、持株会への入会をおススメしたいところですが、基本的に以下の問いで持株会への入会の是非を問えるのではないでしょうか。
・優位性のあるビジネスを展開しており、世界的にトップクラスのシェアを誇っていますか?
・キャッシュフローは健全で、財務的にも問題がないですか?
・株価は数年間右肩上がりで、EPSもそれに伴い成長し続けていますか?
・持株会のインセンティブは少なくとも10%を超えていますか?
・日本企業ではないですか?
これらの問いのうち、あなたのお勤めの企業はいくつ当てはまるでしょうか?これらの問いは、投資先としても魅力的な企業か?持株会に加入するメリットはあるか?という判断に良いのではないでしょうか。
この問いに1つでも『Yes』と答えられないのなら、基本的に持株会への入会はそれほどメリットが大きいとは言えず、見送るべきだと思います。
最近では早期退職者の募集などをしている企業も増えましたので、お勤めの企業が傾けばリストラされた上に持ち株は爆損というダブルパンチに陥る可能性も大いにあり得ます。
従業員持株会に加入するくらいなら、その資金でS&P500に連動するETFや投資信託を毎月買い付けていた方がよほど資産を増やすことが出来ますし、リスクヘッジにもなるのではないでしょうか。
投資のことなど考えずに仕事に打ち込みたいという方でも、投資信託なら何も考えず自動的に積立投資を継続してくれますからね。
従業員持株会に加入して、定年間際で私の元上司のようにどうしようもない状況に陥らないためにも、持株会に加入することは熟慮した方が良いのではないかと私は思います。