加工食品などへの出資名目で違法に資金を集めたとして、警視庁は18日、通信販売会社「ケフィア事業振興会」(東京・千代田、破産手続き中)元代表の鏑木秀弥容疑者(84)ら9人を出資法違反(預かり金の禁止)容疑で逮捕する方針を固めたとのことです。

『ケフィア事業振興会』とは、2000年ごろからヨーグルトの種菌やリンゴジュース、干し柿などの通信販売を展開。2011年ごろから通販会員向けにダイレクトメール(DM)を送り、通販サイトで扱う商品への出資を募る「オーナー制度」を始めた。
そして、育てた果物の加工品のオーナーになれば、出資から半年後に、10%前後の利息を上乗せした金額か、同等の金額分の商品の受け取りを選べるという投資案件を1口10万円程度で募集していたとのことです。
半年で10%ということは、年率で20%の利息ですか。いや〜・・・非常に怪しい投資案件ですね。こんな案件に騙されるような人っているの?と思いきや、ちゃんと居るそうなんです。
全国の高齢者を中心におよそ3万人から1,000億円もの資金を騙し取ったと言います。昨年5月に行われた債権者集会では、1,000億円の出資額に対して回収可能額はわずか30億円と元本の3%しか回収できず怒号が飛び交っていたそうです。
もちろん詐欺を働くクズが一番悪いという話なんですが、この件に関しては騙された側にも問題があると私は思います。ちょっと考えれば分かるのですが、どうして一介の通販食品業者が年率20%にも及ぶ利息の支払いを続けられると考えたのでしょうか?
例えば日本では最も有名な「ブルガリアヨーグルト」を保有する明治ホールディングス(2269)の2019年3月期の連結決算では営業利益率が7.8%です。食品業界の利益率は軒並み一桁%か高くても10%台です。
このような業界で年率20%もの債権利息を支払っていれば、近い将来破綻するだろうということは少し考えれば分かりそうなものです。それだけでなく営業利益率だけでも20%もの利益を生み出すのは日本企業では限りなく少ないことと思います。
このように明らかに怪しい案件でも、目先の利益に眩んでしまい、なけなしの数百万円を一気に投入するようなファイナンシャルリテラシーの低い方が日本にはたくさんいらっしゃいます。
少し調べれば、絶対に怪しい案件だなと言うのが分かりそうなものですが、こんな投資案件で3万人もの人が騙され、1,000億円もの資金を搾取できるのですから、すごいですよね。
投資をするのであれば、全くの不勉強でなければ騙されなかっただろうし、全く勉強せずに投資すると言うのはやはり危険であると言うことが分かります。
勉強しなくても投資することはできますが、勉強しなければ騙されたり、投資を続けていれば確実に資産を形成できたであろうS&P500への投資でも狼狽売りしたりする人もいるでしょう。
ケフィア事業振興会に騙された人々の件から、投資に関してもっと自ら学ぶ必要性はあるだろうなと考えさせられた次第です。
債権者集会で怒号を上げていた債権者たちは、怒号を上げている暇があれば、このような明らかな地雷を踏まないためにも、最低限の勉強はすべきですし、騙されないようにするためには何歳になっても自ら知識を得る姿勢を忘れないことが大切です。