ダイヤモンド・オンラインによると、今月6日、メルカリへの身売りを発表したスマートフォン決済のオリガミの譲渡価格は1株1円だったことが分かったとのことです。

事の発端は先月23日、コード決済業界の『老舗』であったオリガミが、フリマアプリ大手メルカリ傘下のメルペイに会社を売却することを発表したのです。
オリガミは、日本経済新聞社が発表した「NEXTユニコーン調査」で、企業価値はおよそ417億円と算定されており、一体いくらで買収されたのか、気になるところでしたが、両社ともに沈黙をたもっていました。
それが今回関係者からのリークにより、1株たったの1円での売却劇だったことが明らかになりました。もともとは2012年に創業され、キャッシュレス業界の先行者としての立場があったオリガミがまさかこんな形で破綻することになるとは思いもよりませんでした。
同誌によると、オリガミの財務状況は極めて悪く、残り数週間で資金がショートするレベルの資金難だったそうだ。ですが、実はこれは自業自得であり、勘違いしたベンチャー企業がよくやってしまう落とし穴が隠されていました。
オリガミは前述の通り、2012年に創業され、2016年に『Origami Pay』のサービスを開始しました。信金中央金庫と資本業務提携するなど事業を拡大していました。
ですが、キャッシュレス決済事業だけで生き残れるほどフィンテック業界も甘くはなく、Origamiの2018年12月の決算では売上高が2億2,200万円に対し、営業損益は25億4,400万円の赤字だったと言います。
正直、この時点でよく買収しようとしたなと感じるのですが、なるほど、ほぼただ同然なら買収できるということですね。ようやく納得できました。
しかもその赤字の内容もひどく、売上高が2億円に対して、本社社屋は家賃が3億は下らない六本木ヒルズの中にありました。
ウォーレン・バフェット氏も『本社の社屋が綺麗すぎる会社』は投資対象から外すと明言している通り、本社の社屋が無駄に豪華な企業というのはそれだけ無駄遣いをしているということ。将来の成長を期待してという意味にしても、売上以上の家賃を支払うなんて、馬鹿げているにも程があります。よく入居できたなほんと。
また、企業規模が小さいがために、『Pay Pay』や『LINE Pay』といった、大手企業が展開するコードレス決済に太刀打ちできませんでした。やはり、『コードレス決済』のみの事業がそう上手く行く訳ではないということがよく分かります。
コードレス決済というのは、正直言って『ワイドモート』(経済的な壕)がある事業とは呼べません。
ワイドモートとはつまり、事業優位性のことであり、他の企業が簡単に真似できない、参入できない、圧倒的な強みのことを言います。端的に言えば、オリガミにはそのワイドモートがありませんでした。
コードレス決済が乱立していることからも分かるように、決して事業内容自体参入障壁が高い訳ではありません。また、事業内容自体も、結局は提携先企業からの手数料収入がメインであり、提携先が増えないと利便性が上がらないので、利用者自体が増えず、提携してくれる相手企業が見つからないという悪循環に陥るのです。
この時代に大手を差し置いてコードレス決済の企業として生き残るのは相当に難しく、一体何をもって日本経済新聞社は「NEXTユニコーン調査」で、企業価値をおよそ417億円として見積もったのか謎である。
オリガミの事例を振り返ってみると、我々投資家が気をつけるべき投資先企業のポイントがいくつかまとまっています。
・大前提として赤字が続いているような企業には近づくな
・無駄に豪華な社屋にお金をかけている企業は投資対象として不適格
・ワイドモートがない企業には投資するな
・そもそも新興企業に熱を上げるべきではない
これらの4つを遵守し、ワイドモートのある誰もが知ってる超巨大優良企業に投資をするだけで、長期的に見れば十分に投資でリターンを上げることが可能です。
こう言ったダメな新興企業を超格安で買収できるのは、大手だからこそできることであり、個人ではこう言った投資案件が回ってくることはありません。オリガミの買収価格は全額で三百万円弱ですから、ハッキリ言って、私でも100%企業を買い取ることができる価格です。
でもそう言った案件に手を出せるのは、大手企業や法人だからこそです。
つまり、我々個人投資家が『格安』で新興企業を買うことができるチャンスなどないのですから、我々が手を出すのは、大型優良企業のみで何ら問題ないと言えるでしょう。
ワイドモートなき事業内容では、最終的には全員がノーガードで打ち合い、誰かが生き残るまで終わらない戦いになります。
しかも勝者もボロボロですから、いつ全員が倒れてもおかしくありません。こう言った企業には投資すべきでないのは当然ですよね。
我々は大人しく、NYダウやS&P500といった優良企業の中から、有望なビジネスを持っている誰もが知ってる企業に投資するというスタンスで間違いはないのだと思わせてくれます。