先月27日に米国で放送された『Antiques Roadshow』というお宝発掘番組で、衝撃のお宝が見つかったそうです。

今回のお宝は、1974年に374ドル(今の換算価格で3万7千円、当時のレートで換算して約11万円)で購入したというロレックスの腕時計。
今でこそ374ドルというのはかなり安く、ましてやロレックスの腕時計がそんな安値で取引されているとは信じられませんが、約半世紀前の彼にとっては当時の1カ月分の給料に相当する額だったと言います。
そのため、彼はとても大切にそのロレックスをしまっておき、一度も使うことはなかったと言います。
それから約半世紀の時を経て、今回同番組にこの未使用品のロレックスが持ち込まれたとのことです。
鑑定人によると、この時計は1971年製でモデルが「限りなく希少」として、このタイプの時計が40万ドル(約4300万円)の価値があると伝えたとのことです。
男性が驚いてマンガのようにひっくり返ったのも束の間。鑑定人は、「倒れないで。まだ続きがありますから」とさらに驚きの事実を彼に伝えます。
なんとこの時計は、モデルの貴重さに加えて、一度も着用していない未使用品という点、箱や保証書がきれいに残されていることが高評価を受け、「オークションで50万ドル〜70万ドル(5410万円〜7580万円)の値打ちが付くでしょう」という評価を受けたのである。
これには男性も「信じられない・・・」と言葉を失うばかりでした。
さてこのエピソードを見て、自宅にお宝が眠っていないか探そうとブラウザを閉じようとしているそこのアナタ。閉じないで。まだ続きがありますから。
私が言いたいのは、こんなんあったんだってさー すごいよねー という話ではありません。このエピソードで大事なのは、ロレックスが半世紀以上前から『資産価値のある腕時計』という今にも通じるブランド力を有し続けているという事実だと私は思います。
半世紀前に、給料1ヶ月分のロレックスを買おうと思わせたブランド力もさることながら、半世紀経って、まさか10万円程度だった古い腕時計が7,500万円にもなるとは思わなかったでしょう。
ロレックスの腕時計は半世紀より以前から確かな技術と強度の高さで、一般使いもできる高級腕時計としての地位を築き上げてきました。私も数年前まではロレックスの腕時計をいくつか所有しておりました。
今は株を買うためにすべて売り払ってしまいましたが、円安の影響もあって、数年間持っているだけで買った当時の価格を上回る値段で売ることができたのを覚えています。
オーバーホールという高級時計特有の修繕費用を考えればトントンというところですが、それでも数年間ビジネスシーンで満足のいく使用感を得ることができた上に、中年のオジサンたちとの話題にも事欠かなかったことから、使っていて満足のいく時計であったことは間違いありません。
使う人全てに確かな価値を見出させ、さらなるユーザーを呼び込むブランド力は、スマホで時間が簡単に確認できる時代であるにも関わらず素晴らしい『ワイドモート』と言えるでしょう。
さらに言えば、腕時計でも数百円から買えるような安いものや、スマートウォッチなど、ライバルとなるような物も多数存在しております。
それでもなお、いまだに高級腕時計市場には確かな需要があり、売上は少なくなっているとはいえ、今でもロレックスの腕時計は新品で見つけるのが困難なほど人気と価値のあるものも多く存在しています。
確かなブランド力というのは何も高級品に限ったことではなく、コカ・コーラ(KO)が持っているコカ・コーラというブランド力も一般大衆にまで受け入れられている数少ないブランドの一つですし、一般消費材の中では、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)は数々の日用品のブランドを有しています。
私が保有している株の中では、ビザ(V)やマイクロソフト(MSFT)、マクドナルド(MCD)、アップル(AAPL)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が、誰もが一度は利用したことがある、もしくは耳にしたことがあるだろう一般消費者向けのブランドを有しています。
ブランドの持つ力というのは凄まじい威力を発揮します。ブランド物のバッグが超高額でも飛ぶように売れるのは、そのバッグ自体の価値ではなく、それに付加された『ブランド品』という価値がものすごく商品価値を高めているから、そのような強気の値段設定で売ることができるんです。
しかも、ブランド品を買った消費者の中で、嫌々それを買うという人はまずいません。高級ブランド品ならまず誰もが満足そうな顔で買って帰るでしょうし、お手頃な一般消費財としてのブランド品であれば、その商品に対する安心感や信頼感を求めて少し高くても手を出してしまうものなのです。
消費者も嫌々ではなく積極的に選択して購入してくれるので、消費者も幸せ。企業も利益率を高めることができるので幸せ。というみんなが幸せになれる商品。それが『ブランド品』なのです。
そしてそれらのブランド力を有する企業は当然ながら利益率が高く、事業優位性を持っているということがハッキリと言えるでしょう。
私も、もしロレックスが非上場でなければ投資したいなと思えるほどのブランド力ではあると思います。
まあ、ロレックス場合は新品以上に中古品が出回ることも多く、また偽物やコピー品が多いため、どれだけの利益率を叩き出しているのかはわかりませんが、そのように偽物が多く出回ったり、中古品にも価値があるということがますますロレックスの人気ぶりが窺えるエピソードであると感じます。
株式投資をするのであれば、やはりブランド力のある企業は最優先してスクリーニングしたい銘柄となりますね。数年や半世紀ごときでは傾くことがないのが本当のブランド力と言えます。
ハイテク系の銘柄が保有するブランドは、10年先でも同じだけの力を持っているかは分かりませんが、ブランド力に陰りが見えない限りは、投資を続けるという選択肢しかないんじゃないですかね。
どちらにせよ、仮に半世紀ブランド力を保有する有料企業の株に投資をし続けていたとすれば、彼は腰を抜かすどころでは済まされないような莫大な資産を築くことができただろうなと私は思います。