“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏による対談コラムが『週刊プレイボーイ』にて連載されています。お二人とも、正論をド直球で言うタイプですので賛否両論ありますが、概ね同意できる内容なので、私は面白いなと思って見ております。
今回のテーマは、”安い国”日本。前編では、両氏が「海外に行かない人はなかなか気づかないだろうけど、本当に日本のモノやサービスは安くなってる」と語り、その原因を「海外で売れる価値のあるものが作れていないから」と分析。そんな「みんなで貧乏まっしぐら」な状況なのに、「金持ちが金を使うとアレルギー反応的に批判する」「商品価格を上げるのが悪いという謎の意識も強い」と指摘した。
お二人が語っている内容はどれも正論ばかりですよね。特に顕著に感じるのは、日本のモノやサービスが相対的に安くなっているという点。ヨーロッパや北米方面とはすでに比べ物にならないくらいモノが安い国になっていますし、同じアジアでも日本は数年前からシンガポールと同じくらいの物価になっています。シンガポールでも安いお店はありますが、それは日本でも同じですから、物価の水準はトントンと言っても過言ではないでしょう。
そんな状況にも関わらず、日本人は海外に行きませんから世界の実情を知らない人が多く、商品価格を数十円値上げするだけで拒否反応を起こしてしまうのです。
日本のパスポートは世界で最も信頼されており、日本パスポート保持者がビザなしで渡航できる国は、現地空港などでアライバルビザが取得できる滞在先も含め、190ヵ国と2018年以降単独で1位となっています。にも関わらず、日本人のパスポート保有率は約23.5%と4人に1人にも満たないというのが現状なのです。
日本人のほとんどが日本国内に籠もっているため、日本企業は適切にインフレを起こすことができません。今や、日本に外国からの観光客が増えたのは、相対的に物価の安い国になってしまったからです。
日本人が海外でスリなどの犯罪に巻き込まれやすいのは、お金持ちだからではなく”チョロい”からです。そこそこお金は持ってるし、盗みやすいから窃盗犯からすれば日本人は『ローリスク・ハイリターン』なんでしょうね。
さて、日本がこんな国になってしまったのもひとえに『海外で売れる価値のあるものを作れてないから』だと指摘しています。以前も記事で取り上げましたが、多くの日本人の日常では、特に意識をしていなければ『日本製』のモノに触れることなく1日を終えることができてしまいます。

それだけ日常的に利用される日本企業のモノやサービスが作れていないということ。日本国内ですらそうなんですから、海外ではもっと厳しい状態だということになります。
身近なスマホ一つにしても、iPhoneユーザーはiPhoneシリーズを使い続けますし、Androidユーザーもほとんどは格安の中国・韓国企業のメーカーのスマホを使います。わざわざ、シャープ製のスマホを使うという人は少数派と言えるかもしれません。
そして極め付けが、日本人特有のお金持ちを叩く体質ですよね。お金持ちがお金を使っても、お金を使わなくても叩くのが日本人の悪い癖です。


ハッキリと言って、お金持ちというだけで批判を受けるような国が、豊かになっていく訳がないですよね。多くの日本人が、『お金を持っていれば批判されるなら、お金を持つのはやめようかな』と無意識のうちに考えてしまっているのです。
いまだに『技術は世界一』とか生温いことばかり言って、すでに追い抜かれている中国を『発展途上国』と見下し、ブランディングやデザインの持つ力を疎かにし、無駄な所にこだわったクソダサい商品を海外勢の倍の小売価格で販売している製造業が、今の日本の産業を支えているのです。控えめに見ても将来性はないですよね。
外食業界でも、値段を上げたら来なくなるという時点で、お客さんが『美味しいから』きていた訳ではなく、『安いから』来ていたのだという事実に早く気づくべきです。
『いきなり!ステーキ』の凋落ぶりから見てもよく分かりますよね。今まではそれほど味には期待していなくても安かったから来ていただけで、勘違いして値段を上げ、『分不相応な』価格になった途端に客足が途絶えました。

良いモノは高く売れるというのは正しいのでしょうが、日本企業が考える『良いモノ』の基準がずれてしまっているので、海外でもブランディングができないのです。
そこまでこだわった機能を内部に搭載されても、外観が無骨でダサければ普通に考えて買いませんよね?
例えば、超高級なシルクやカシミヤといった原料を使っていても、形がダサい服は売れませんよね。それをさらに市場平均の倍以上の高値で販売して、売れないと嘆いているのが今の日本の製造業です。
世界中で支持され、人気があるブランド力を有していれば、値段を上げてもある程度のリピーターはついて来てくれます。そして、そのような独占的とも言えるブランド力を有している企業のほとんどが米国企業であり、NY証券取引所に上場している優良企業たちなのです。
この事実を見るだけでも、我々が日本に投資すべきか、それとも米国に投資すべきかというのが見えてくるかと思います。
米国株投資へたどり着くためには、日本人の『投資アレルギー』と『海外アレルギー』という大きな2つのアレルギーを克服する必要があります。
ですが、それらのアレルギーに打ち勝ち、米国株投資を始めた少数派の方たちは、おそらく将来大きな資産を築き上げることができるでしょう。