現在、中国・武漢を中心に、新型肺炎ウィルスが猛威を奮っています。これをリスクと捉えた株式市場では、株価が軟調となっており、NYダウ、S&P500指数共に小幅ではあるが下落しております。


現地時間24日朝の時点で確認されている感染者数は881人となっており、米国でも2人目の感染者が確認されました。
この新型肺炎によるパンデミックは2002年から2003年頃に流行した『SARS(サーズ)』騒動を我々に思い出させます。SARSも今回と同様、新型コロナウィルスによる感染症で、こちらも中国。広東省を起源に世界中に広まりました。
SARSの症例では、2002年11月~2003年7月に世界で774人の死者を出しました。そしてその大半は中国本土と香港だったとのことです。
当時、中国経済は減速。香港はリセッション入りを経験し、中国本土・香港の株価指数は持ち直すまで2桁の下落率を記録している。
この頃の株式市場は、世界的に総悲観と言える状況で、2000年頃にドットコム・バブルが崩壊したことをきっかけに暴落し、その後NY同時多発テロ、アジア通貨危機など、懸念すべき点がどんどん湧いて出たような時期でした。もちろん米国株市場も軟調で、SARSの症例が広まった2002年11月から2003年7月の間でS%P500指数は最大で10%を超える下落に見舞われました。
もちろん、下落要因がSARSだけではないと言えるので、この時期の下落が本当にSARSによる影響なのか?というところには疑問もありますが、とにかく世界的なパンデミックの際には株価が軟調となるのは歴史が証明しています。
例えば今からおよそ100年前、1918年〜1919年にかけて流行した『スペイン風邪』と呼ばれた米国発のインフルエンザが猛威を奮いました。
世界的に大流行した理由は、当時の『第一次世界大戦』と言われており、各国の兵士が病原菌を保有したまま世界中に侵攻していく中でヒトからヒトへと流行が広まったと言われています。さらに、スペイン風邪が猛威を振るって戦争をしている場合ではなくなり、休戦状態となったことで兵士たちが自国に復員し、感染は一般市民にまで拡大したと言われています。
幸か不幸か、『スペイン風邪』は当の第一次世界大戦の終戦を早めるきっかけとなりました。しかし、第一次世界大戦による戦死者が1,600万人という中で、スペイン風邪による死者は5,000万人と、人類初の世界規模の戦争のおよそ3倍もの死者を出したと言われています。
そして当時は世界人口が18億人ほどしかおらず、世界大戦とスペイン風邪で全人口のおよそ3.7%にあたる6,600万人超を失った人類は、その後世界恐慌に直面することになるのです。
この例は極端ですが、パンデミックが近代世界史に与えた影響は思いの外大きく、世界恐慌が第二次世界大戦の火種となったことから、スペイン風邪が広まらなければ、今の世界情勢も大きく変わっていたのかもしれないと思いを馳せることができます。
どちらにせよ、パンデミックによって株価が下落するというのは当然ありうることですので、我々個人投資家は、キャッシュポジションをある程度用意しておくのがベストと言えるのかもしれません。
そして、新型コロナウィルスに対する特効薬を開発した製薬会社の株価が急騰することになるかもしれませんが、それがどの企業なのかを事前に知る術は我々にはないのですから、個別株ギャンブルにベットするよりも、株価が下落し始めてもコツコツS&P500や”今までの実績”から見て割安になった個別株に投資するというのが賢明かと思います。
パンデミックは恐ろしいですが、”総悲観は買い”とも言われていますから、事態が収束するまでの間は久々に買い場が訪れるかもしれません。こんなタイミングで優良企業の株を手放すようなことがないよう、お気をつけください。