『いきなり!ブレーキ』『肉損ショック』など、数多くのパワーワードを生み出したペッパーフードサービス(3053)の『いきなり!ステーキ』ですが、悪評が広まったのは『社長直筆』の貼り紙が原因でした。

そしてこの後、倒産危機を感じた常連客が、いきなり!ステーキのポイント制度である『肉マネー』を使い切るために押し寄せるという『肉損ショック』と呼ばれる出来事が起きました。

そんないきなり!ステーキに今月中旬、新たな展開があったようです。なんと事の発端となった貼り紙が新しく追加されていたのだそう。その貼り紙がこちら。

スマホで当ブログをお読みいただいている方には見づらいかと思いますので、全文を起こしてみました。
一瀬(社長)より皆様へ
昨年12月、決意のお願いを店頭に掲示いたしましたところテレビSNSに多数取り上げて頂きその反響の大きさに驚きました。私の思いとは違う厳しいご意見を多数頂きました。
しかし、頑張れとの励ましのお言葉も数多く頂き勇気がでました。
この「いきなりステーキ」で一番人気は、ワイルドステーキですが、時々硬いとお叱りを受けておりました。
御新規のお客様が硬いステーキを食べられた時、もう二度と来られないばかりか悪い口こみが店を台無しにします。誠に申し訳なく思います。
一番の人気ステーキを柔らかくて美味しいと言って頂けます様努力してまいります。
大いに反省しております。
この書き方が問題となったようで再びネット上で炎上している。もはや燃えすぎて灰すらも残らない状況ではあるが、『悪い口コミが店を台無しにする』という書き振りが、客側に責任があるかのようなメッセージとして捉えられているようだ。
今の状況を鑑みるに、店を台無しにしているのは社長本人だと言えるのだが、どうやらワンマン経営のこの企業ではそれを指摘することができる者は社員はおろか取締役会にも居ないようです。









こういう前時代的な馬鹿げたことを平気でやっているのだから、誰も逆らえないでしょうね。店の評判を下げているのは、果たして『悪い口コミ』なのでしょうか?
お客様からのクレームと言うのは、小売業や接客サービス業では改善案の糸口となることもあるため、企業によってはクレームをお金を出して買い取ると言う企業もあります。
それだけ消費者の生の声と言うのは貴重で無視できないものなのですが、己を省みることなく、客が悪いと言う態度を今でも取り続けているのですから、『いきなり!ステーキ』に改善の余地はないと言えるでしょう。
と言うか一番の改善点は社長の解任でしょうが、今の状況だと難しいのかもしれません。悪い口コミではなく、自分自身が企業イメージを壊しているのだと早急に気付かないと、このまま廃れていくことは間違いありません。
社長は習字の練習をしている暇があるなら、経営についてもっと基本的なところから学び直すべきと言えるでしょう。
顧客満足度は、品質と値段が釣り合ったときに初めて最大化されると言えます。例えばiPhoneが10万円を超えても飛ぶように売れるのは、iPhoneという物がすでにブランド化されており、高くても、並んででも、いち早く欲しいという支持層が多く居るためだと言えます。
スマホにそこまでのこだわりがない人であれば、中国や韓国で作った格安スマホを購入するでしょう。ですが彼らも品質と値段の安さが釣り合っていると感じるからそれらの格安スマホで満足することができるのです。
これと同じで、飲食業界でも品質と値段が釣り合っている企業は利益を上げています。吉野家HD(9861)は相当格安で同じ牛肉を扱っているというのに、かなり好調な決算を出しています。

これは、吉野家が提供する牛丼の品質と値段とが顧客のニーズにマッチしているからだと言えるでしょう。
対していきなり!ステーキは、私も実食して感じましたし、多くの顧客がいうように、『値段の割りに』硬くて脂っこいステーキが提供されるのが問題なのです。
これが顧客の心中で不協和音を奏で、リピートは無いかなと思わせているのです。悪い口コミは何も的を外れたものばかりとは限りません。悪い口コミこそチャンスとなり得るのです。
それを理解しない限り、ペッパーフードサービスへの投資は、他の日本企業と比べてもさらにお勧めできない個別株だと断言できるでしょう。