ロイター通信の報道によると、米中両国は15日、貿易交渉を巡る「第1段階」の合意に署名したとのことです。
予定の日本時間深夜1時からはかなりズレ込み、押していましたが、無事に合意に至ったと言うことは、ひとまず安心と言えるのではないでしょうか。
内容としては、一部関税措置を取り下げるほか、中国は米国からモノとサービスの輸入を拡大させるということです。具体的には、知的財産・技術移転・農産品などの項目について同意し、特に一番注目なのが、貿易拡大についてであり、2年で2,000億ドル(工業品777億ドル、エネルギー524億ドル、農畜産品320億ドル など)を米国から中国に輸入することに同意ができたと言う点です。
米国・トランプ大統領は貿易赤字の解消に力を入れており、中国への輸出拡大に同意できたことは米国内に対する”強いアメリカ”をアピールできたのは大きな成果となりますし、中国側も、一人当たりGDPが初めて1万米ドルを突破するなど、中国国民が全体的に『お金持ち』になっているのは明らかですので、15億とも言われる人口を有する中国は近年、『外需から内需』に尽力する政策に転換をしており輸入品の需要は問題とならないと言うことで両国ともにメリットがある合意となったと言えるでしょう。
トランプ氏によると、引き続き第2段階への合意を協議し、「第2段階」の合意に達し次第、すべての関税措置を解除すると表明。「第3段階」の合意はないとの見方を示した上で、「交渉の切り札のために関税措置を残すが、第2段階の合意が得られ次第、解除する」とのことです。
米国株市場の反応は限定的で、良くも悪くも『予想通り』と言うことでしたが、NYダウは史上初めて29,000ドル台で取引を終えるなど、引き続き好調さが見える結果となりました。

ですが、現時点ですでに今後の株式市場全体へ影響しそうな材料に欠ける状況であり、今週から始まっている個別企業の決算結果がそのまま株価に影響してくると言う環境に変わったと見えるでしょう。
例えば株式市場全体が好調な中、15日に決算発表をしたディスカウントチェーン大手のターゲット(TGT)の株価は一時7%を超える下落を見せ、最終的に6.5%超の下落で取引を終えました。

背景にあるのは、ターゲットの昨年のホリデーシーズンの売上高が、増加はしているものの1.4%の増加と、市場予想3~4%増に大きく届かず、2019年11月-20年1月(第4四半期)の売上高予想を下方修正したことが影響している。

ターゲットに限らず小売業全体で売上の低迷が顕著となっており、JCペニー(JCP)などは家具と家電の販売から撤退するなどジリ貧で、株価はついに1ドルを割る水準まで下落している。

小売業の成長が予想より鈍化していると言う現状を考慮すると、米国経済の成長も緩やかとなっていることがわかります。どちらにせよこれ以上の株高の材料に乏しい現状では、大統領選を控える年末までは、方向性の定まらないレンジ相場となる可能性も大きいと言えるでしょう。
ただしそこは、トランプ大統領のことですから、無理やりにでも株価を上げていこうとするのが彼のやり方ですよね。またどこかの段階で他国にいちゃもんつけて、株価に刺激を与える材料を自ら生み出す可能性も大いにあります。今や大統領のツイート一つで株価が乱高下する時代に突入しているのです。いつ何が起きてもおかしくないと言う心構えでいることは大切かもしれませんね。
さて、そんな何が起こるかわからないと言う原点にして当たり前の結論に回帰した訳ですが、いつ何が起こるかわからないのは人間ですから当然です。とすれば、我々投資家がとるべき行動はいつも変わらず、コツコツと、少しずつ、積立投資を続けることだと言う結論に至ります。
早い段階で持ち株を処分してしまった投資家の方はNYダウが29,000ドルと突破する勢いに乗れなかったことになりますし、株価が下落したら投資を始めると言っている非投資家は、いつまで経っても訪れない下落相場に機会損失を被り続けているのが現状です。
そしてこれらの非投資家がフルインベストメントしてきたタイミングこそが株価のピークであると言うのは歴史上、往々にしてあることなのです。ですので、リスクコントロールは当然必要ですが、今からでも少しずつ相場に慣れ親しんでおくと言うのはとても有意義な行動だと私は思います。
まだまだ米国株投資は日本人にとってなじみ深いものではなく、『参入していない素人』はそこら中にいますからね。米国株市場の上昇は今後も緩やかに続くだろうと考えられるのではないでしょうか。