楽天証券の楠社長は今月11日、パシフィコ横浜で開催した「新春講演会2020」で以下のように語った。
「米国では株の手数料はゼロになってしまった。この大きな流れは止められない。我々も準備をしている。売上全体の4分の1が手数料だが、これをいきなりゼロにすると赤字になってしまう。代替策を考えながら準備していく」

昨年10月、SBIホールディングス(8473)の北尾氏は「SBIはもはや証券会社の範疇で捉えられるべきではない」と語り、『3ヶ年計画』によってすべての株取引手数料を無料化していくつもりであるという意思表示をしました。

楠氏の発言にあるように、今すぐにゼロにすれば赤字となってしまうため、まだ少し先の話になるだろうと思いますが、10月末の発表時に、SBIホールディングスにおける連結利益全体に占める証券事業の割合が、この上半期に30%以下まで低下したと言っており、楽天証券も売上全体の4分の1と発言していることから、証券手数料への依存割合が低いことがわかり、実現可能性は高いと見られている。
またSBIホールディングスは、すでにアセット・マネジメント事業の税引き前利益は前年同期比19%増の355億円と、初めて金融サービス事業(同263億円)を上回る結果となるなど、証券事業の代わりとなる収益の柱を成長させていることから、楽天証券よりは一歩リードしているのかなという印象を持っています。
と言っても楽天証券は手数料ゼロ化の具体的なスケジュールは示しておりませんので、どこで先を越されるか分かりません。というかそもそも、SBIも楽天も、いつもマネックス証券に先進的なサービスでは先を越されており、後塵を拝する形となっているのです。手数料ゼロ化を大々的に発表するなら、実際に我先にと行動に移して欲しいものです。
私個人としては、手数料無料化は元より、期待しているのがDRIP(Dividend Reinvestment Plan(配当再投資))制度の導入です。米国では当たり前に採用されている個別株の配当金を自動再投資してくれるこの制度ですが、日本の証券会社ではまだ導入実績がなく、日本で比較的取扱しやすい証券会社では、サクソバンク証券のみが対応している制度です。
しかもサクソバンク証券も、端数株には対応しておらず、小口投資家であれば、結果的に現金で配当金を受け取る可能性が高いことも問題です。
本来であれば、DRIP制度は、例えば株価10ドルの銘柄を1株保有しており、1ドルが配当された場合、その1ドルの代わりに0.1株(1ドル分の株)が割り当てられ、保有株数は計1.1株となるのですが、サクソバンク証券は1株単位でしかDRIP制度による再投資ができないとのことです。
まあ、このDRIP制度が導入されれば、投資信託の『自動配当再投資ができる』という大きなメリットが薄まってしまうので、なかなか導入が難しいのではないでしょうか。
日本政府が推し進めている『つみたてNISA』や、物議を醸した『新型NISA』で投資対象をあえて投資信託に制限するなど、投資信託の運用会社と政府とはズブズブの関係性があるようにも見えますからね。
でも私は、現金をそれほど必要としていない現役世代の間は、配当金は再投資してナンボだと思いますので、DRIPは将来的にはぜひ導入して欲しいなと思います。
とは言っても、やっぱりまずは手数料無料化の流れを喜ぶべきでしょう!SBI北尾氏の発言から始まり、昨年秋頃から始まったSBI、楽天、そしてマネックスの、三国志のような三つ巴の手数料割引争いは、今年も活発になりそうです。
我々ユーザーとしては、この流れは願ってもない朗報です。まあ、どれだけ手数料を無料化したところで、株式投資に興味がない層を新規参入させることはハッキリと言って難しいです。だって、興味がないから。興味がないニュースは目に入らないし調べもしません。
あなたも、例えば『ハワイに旅行に行こうかな』なんて頭の中で考え出した途端に、ハワイに関する情報が街中に溢れていると感じたような出来事はありませんか?
これは、もともと街中にあったのに今まで無意識にスルーしていた情報が、興味を持ったことでそこら中にある情報が脳内に流れてくることから錯覚を起こすのだそうです。
同様に、興味がないという人を無理やり投資家にするのは至難の技ですが、興味はあるけど怖くてやってなかったという層を取り込むためには、こうした企業努力が実を結ぶことになるのでしょうね。
そして、『興味はあるけど怖くてやってなかった』層の人たちに、『当ブログを見て投資を始めました!』というお声をこれからも、もっと沢山いただけるように、私Yukiは頑張って更新を続けていきたいなと考えている次第です。
新しい投資家がどれほど参入してくるかは分かりませんが、どんどん投資しやすい環境は整ってきているのは事実ですから、老若男女問わず、少しずつでも投資を始めようとしてくださる方が増えることを期待しております。