ロイター通信によると、米国の代替肉メーカー『インポッシブル・フーズ』が、米国マクドナルド(MCD)との提携を断念したとの報道がありました。
豚肉そっくりのソーセージパテを発表したばかりの代替肉メーカー、米インポッシブル・フーズが、米マクドナルドと提携を断念した理由はズバリ、マクドナルドで見込まれるだけの十分な生産能力を確保できないからだと言います。
インポッシブル社と最大のライバルであるビヨンド・ミート(BYND)は、向こう10年間で約15兆3,000億円規模とも世界の代替肉市場を巡り、ファーストフード大手との提携獲得競争を繰り広げている。マクドナルドもすでにカナダではビヨンド・ミート社製の代替肉バーガーを販売しているが、全米の1万4,000とも言われる店舗では未だ代替肉バーガーの販売にはこぎつけていない状況です。
この報道を受け、ビヨンド・ミートの株価はここ数日で一気に上昇。今週だけでなんと株価は30%近い上昇をしているのである。

やはり代替肉の覇権はビヨンド・ミートが握るのか…と思いきや、代替肉が広まったきっかけとなる近年のヴィーガン信仰に警鐘を鳴らす研究結果が最近話題となっています。

代替肉が話題となった理由の一つに、この”ヴィーガン信仰”があります。ヴィーガンについては、私もお世話になっているノアさん(@eden_0202)が一足先に記事にまとめてくださいました。
ヴィーガンは端的に言えば、『動物から搾取しない』ことを前提とした生き方のことを言います。自ら人生に制限プレイを課すようなこの信仰は、動物愛護の観点から近年、世界中に広まったのですが、動物から搾取しない代わりに白羽の矢が立ったのが、植物であり、彼らは植物由来の食品しか口にせず、その過程で生まれたのが、大豆などを原料とする代替肉なのです。
ですが、植物にも感情があり、ストレスを感じていると言うことが今回の研究で明らかになったのです。よく、花に話しかけながら世話をすると元気になると言われていますよね。これも植物に感情がある証ではないでしょうか?
植物も動物と同様感情がある『動物』なのだとしたら、ヴィーガンと呼ばれる人々が取れる行動は、死ぬまで食材を口にしないか、諦めて普通の食事をするかの二択です。
まさか死ぬまで何も口にしないと言うことはできないでしょうからね。これがさらに単細胞生物やウィルスにも感情があるとか言い出したら、ヴィーガン信仰の人は水も飲めず、呼吸もできなくなります。高尚な思考回路をお持ちのヴィーガン各位は『私の体内の白血球が感情のあるウィルスを殺戮することに耐えられない!』とか言い出すんですかね。ま、知らんけど。
現段階で単細胞生物等の感情論にまで研究が及んでいるわけではありませんが、今のところ動植物を口にできなくなると言うだけで生命を維持するのは困難なことから、ヴィーガン信仰は、また別のNYセレブの口コミで広まる他の信仰に書き換えられる可能性が高いです。人間も所詮は動物ですので、他の種族を慈しむ前にまずは自分自身をご自愛ください。
とまあ、仮にヴィーガン信仰が萎んでいくとすれば、代替肉の存在意義は単なる”健康食”くらいにしかならないですよね。今は高額でも飛ぶように売れているらしいビヨンド・ミートの代替肉パティですが、原点回帰して普通に元・ヴィーガンが肉を食べ出したら、途端に立場が危うくなるかもしれません。
代替肉は商品としては残るかもしれませんが、今のような熱狂的なブームは今後数年の間に過ぎ去るだろうと考えます。インポッシブル・フーズが、マクドナルドの要求に応えるために量産体制を整えるような無謀な行為に手を出さなかったのは、ある意味賢明な判断と言えるのかもしれませんね。
対するマクドナルドからすれば、インポッシブル・フーズと提携が出来ないとしても特に何の痛みもなく、それこそビヨンド・ミートとの提携で全米展開してもいいし、ライバル店の代替肉バーガーの売れ行き次第では無理して全米展開しなくてもいいかもしれません。
今回の件で、マクドナルドの強み自体には何の揺らぎもなく、これからも世界一のバーガーチェーンとして世界中に君臨し続けるでしょう。
逆に代替肉は別の信仰にも活路を見出せるのではないでしょうか。例えば、一昔前ほどではないにしても、未だにマクドナルドが高級品として扱われているインドなどでは、ヒンドゥー教と言うガチの信仰の影響で牛肉を食べられませんし、イスラム教国家では豚肉がアウトですよね。これらの国でよくマトン(羊肉)が食されるのは、宗教に左右されないと言う理由からです。
ですが、植物由来の代替肉バーガーはこれらの国々で愛される商品となりうる可能性がありますね。もちろん、今の代替肉の生産能力では普通のバーガー以上の超高級品として扱われることになるでしょうけどね。
私が知る限り、豆類を食べられないのは、大豆アレルギーの人か古代ギリシャのピタゴラス教団くらいです。代替肉バーガーは現代の宗教上ではほとんどの宗教で受け入れられるのではないでしょうか。もしくはグラコロですね。グラコロはほとんど小麦粉ですから、受け入れられるでしょう。(あるいはソースに動物由来の成分が入っていたらアウトかもしれませんけどね。)

特に信心深くもない我々日本人は、今日もカシミヤやウールでできた素材の防寒具を身につけて、マクドナルドに足を運んでビックマックやグラコロに舌鼓を打つことだろうと思います。
そして世界中で同じような消費者が大多数を占めている限り、米マクドナルドへの投資は安泰な投資法と言えるのではないでしょうか。