世界三大投資家の一人、冒険投資家のジム・ロジャーズ氏はたびたび当ブログでも取り上げさせていただいております。ここ最近は、朝鮮への投資が上手くいっていないのか反日的な発言が目立っており、『日本株は全て売った』と買ってもいないはずの日本株の売り煽りをしている投機家の一人です。

最近は投資家としての実績より、メディアでの発言が注目を浴びる、いわゆるインフルエンサーのような活動をしているロジャーズ氏ですが、かつての実績は素晴らしく、1973年に、同じく世界三大投資家の一角、ジョージ・ソロス氏と共同で立ち上げたクォンタム・ファンドは10年間の間に3365%のリターンを得たことで、彼らは一躍有名となりました。
そんな彼が、大金持ちへの近道を教えてくれるというので、早速記事を読んでみました。

彼によると、『自分が知っている分野に集中投資すること』が大切だと言っています。なるほど。確かにそれは一理あります。自分が知っている分野に投資すべきであるということはウォーレン・バフェット氏も常々言っています。
ですが、集中投資はどうでしょうか。一応断っておきますが、集中投資を否定しているわけではありません。集中投資が有効な手法であることは、ビリオネアたちが物語ってくれています。

確かに私はIT企業で経理をしており、色んな業種で経理に携わった経験を踏まえて、他の業種と比べて、やっぱり圧倒的にIT企業の収益性の高さを実感しています。だからこそ、IT関連のビザ(V)、マイクロソフト(MSFT)、シスコシステムズ(CSCO)に対してコツコツ投資し続けることができています。
ですが、私のような平凡なサラリーマンが知っている(と思っている)分野など、所詮は氷山の一角にすぎません。私の勤める企業はIT企業とは言え、東証一部上場企業であり、『GAFAM(GAFA+マイクロソフト)』ではありませんので、本当に優位性のあるIT企業で働いているわけではありません。
もちろん、内部にいなくともGAFAMの素晴らしさは理解できますが、それでも『自分が知っている』と胸を張って言えるかと聞かれるとなんとも言い切れません。所詮はアニュアルレポートに記載された情報しか得ることができないのです。
集中投資することは否定しませんが、私は自分自身の『無知のリスク』に備えるために、将来有望そうなヘルスケアセクターや、いつの時代も必要とされる生活必需品(やそれに準ずる物)、それらのセクターを補完するためのエネルギーセクターに分散投資した上でS&P500にまで投資しているのです。
仮に理想的な投資方法が『GAFAM』各社にそれぞれ資金の20%ずつを投資するという手法だとしても、私はその手法にストレスを感じるので実行はしないだろうと思います。
そもそも、数年前は『FAANG』と呼ばれてましたよね。それが、ネットフリックス(NFLX)の成績が悪くなるや否や、『GAFA』に変化し、2020年に入った途端に、2019年のリターンが大きかったマイクロソフトを付け加えて『GAFAM』と呼ばれるようになりました。毎年毎年、前年の成績という結果論に基づいて付け加えたり、外したりを繰り返しているだけなんですよね。あくまで結果論です。
GAFAMの今年の成績は誰にもわかりませんし、ネットフリックスがもしかしたら厳しい戦いに勝利して大きく成長するかもしれません。期待はできませんが。
ジム・ロジャーズ氏もドヤ顔でこう語っています。
「ちなみに、『投資は分散すべき』という言葉が投資の常識として語られるが、分散したら大金を手にすることはできない。1970年に1次産品に投資し1980年にそれを売って日本株を買う。そして1990年に日本株からテクノロジー関連株に買い替えて2000年に売ったのなら、あなたは今ごろ大富豪だ。
ですが、このようにタイミングを計って投資し続けることが、かなり難しいということがわかります。
その際たる証拠が、世界三大投資家のうち、フォーブスの長者番付の上位に名を連ねているのが、『長期永久保有型』の投資を続けているウォーレン・バフェット氏だけだということです。
バフェット氏は、資産の98%を、自身がCEOを務めるバークシャー・ハサウェイ(BRK)株として保有しています。もちろん、同社のポートフォリオを整理するために売買することはありますが、少なくとも年単位では持ち株を保有し続け、完全撤退までには数年を有することがほとんどです。
毎年毎年、前年の流行りの銘柄に投資をしていても大したリターンは得られないだろうと思います。それだけ株価が上昇してしまっている証ですからね。ファッションだってそうじゃないですか。流行の形は毎年変わるので、前年に流行したものはクソダサいという風潮がありますよね。
まだ成長の余地があるとしても、前年の流行に乗っかって投資先をコロコロ変えるのはいかがなものかと思います。
あと、ジムロジャーズ氏の主張を読んでいると何となく既視感があるな…と思いましたが、そう言えば少し前に『1年以内に3倍になる小型株に投資する』を繰り返して大金持ちになろう!という主張があったのを思い出しました。

タイミングを見て集中投資することを主張する方は株価が好調な時期に多く見受けられます。もちろん投資手法は人それぞれですが、私のように大型株に投資して9年間で一度だけ一部売却をしたという投資家もいれば、小型株やトレンド株に投資して、たまたま上手く行ったらすぐに手法を書籍化したり、インフルエンサーとして活動する投資家もいます。
ですが、現在投資を始めようとしている方々は、『大金持ち』を目指しているのでしょうか?超富裕層(5億円以上)と呼ばれるほどの資産を築くことより、将来の不安がなく生活できるほどの資産を形成できれば良いという人の方が多いのではないでしょうか?
だとすれば、無理してハイリスクな集中投資をするより、優良な大型株にある程度分散投資した方が、ミドルリスク・ミドルリターンに収まると言えるでしょう。
大金持ちを羨んで、自分が投資する意味や目標を見失うようなことにならないよう、お気をつけください。