お正月の楽しみと言えば、子供の頃は『お年玉』でしたが、大人になってからは楽しみが減ってしまうものです。ですが、年始の風物詩として、『福袋』を買いに出かけるという方も多いのではないでしょうか?
先日、マクドナルドの福袋がお得だという記事が好評いただきました。

無料クーポンだけでかなり元を取れるのは嬉しい限りですね。以前は不良在庫の詰め合わせが多かった福袋ですが、最近はこうして中身を公開して、お得な詰め合わせにしてくれる福袋が主流な気がします。ネット社会で情報がすぐに漏洩しますから、完全ランダムで明らかに売れないものを詰め込むよりはPRになっていいのかもしれません。
さて、そんな中昨年末に斬新なPR活動で『話題』となったアノお店が『福袋』商戦でもやらかしているそうです。そのお店こそ、『いきなり!ステーキ』。同店の的外れなマーケティング戦略は、投資冥利のない日本企業のお手本として何度か当ブログでも記事に取り上げさせていただきました。


そんないきなり!ステーキでも福袋を販売しているそうで、その福袋をレビューした記事を見つけました。

同社の福袋には、6,000円で8,000円分の商品が入っているそうで、それだけ聞くと確かに『お買い得』な感じはします。ですが、その中身を見てみると、
・いきなりバターソース 410円
・いきなりビーフハンバーグ 550円×3
・プレミアムビーフカレー 648円
・ひれステーキ200グラム 1,944円
・サーロインステーキ200グラム 1,728円
・笑顔の見えるマスク 1728円(5個売りの物のみなので5分の1の金額)
合計 8,108円
と、一見2,000円ほどお得なラインナップに見えるが一番下の、いきなりステーキの従業員がつけている『笑顔の見えるマスク』がネックである。
ハッキリ言って、要らないですよね。ここでも“顧客のニーズ”を掴み切れてない感が満載です。次回のコミケでいきなり!ステーキの従業員コスをされる予定のある方以外には不要な代物です。やっぱり昭和風の古臭いワンマンな社風のようですから、福袋の中身も抱き合わせの不良在庫処分と捉えてるんでしょうか。令和も2年目となったこの時代に。
この不良在庫のマスクを除けば、商品合計は6,380円。6%ほどオトクではあるが、心理的にはほぼ定価で買ったのと同じくらいでは無いでしょうか?少なくとも、マクドナルドの福袋は購入した時点で『無料クーポンで確定9%オトク+人気ファッションブランドとコラボした普段使いできそうな限定グッズ』だったことを考えると、どうしても見劣りしますよね。
外食産業の王者・マクドナルドと、ポッと出の一発屋・いきなり!ステーキとの格差がこれです。いきなり!ステーキは結局、顧客のニーズが掴めていないというのが、福袋からも伝わってきます。マクドナルドも顧客のニーズを掴めておらず、迷走した時期は確かにありました。1個1,000円を超えるような高級ハンバーガーを売りにしてた暗黒期もありましたが、『デフレの申し子』であるマクドナルドに訪れる顧客層はそんなものを期待していないんです。それに気付いた同社は路線を再び安くて安定的なハンバーガーショップに切り替え、復活を果たしたのです。
いきなり!ステーキも始めは物珍しさとオトク感から客足を稼いでいましたが、初めから味や品質ではなく値段だけで勝負したため、相次ぐ値上げで顧客がドロップアウトしていったのです。そして悲しいことに、経営層がそれに気付いておらず、未だに上から目線のワンマン経営を続けているのです。
この経営状況を改めないと、本当に『肉損ショック』による倒産が現実的なものとなり、ペッパーフードサービス(3053)には『いきなり!不景気』の波が押し寄せることになるでしょう。
いきなり!ステーキに求められているニーズは、アルバイト店員の笑顔でも『格安高級牛肉』でもありません。ギトギトの脂身でも、(この値段ならまあありかな…)と納得できるような『超格安それなり牛肉』こそがいきなり!ステーキに訪れる客層の求めるものです。結局、外食産業は顧客を味で納得させ続けることでしか継続した繁盛は難しいんだと思います。
スタート時点で、値段で勝負する路線で行ったんですから、その安さに群がってきた顧客層を相手に、値上げを連続すれば客が来なくなるというのは火を見るより明らかですよね。
2020年のいきなり!ステーキはどうなるのか、もちろん私には分かりませんが、幸先の良いスタートとは言えませんね。やっぱり、こんなワンマンのずれた社長が経営している企業に投資するくらいなら、マクドナルド(MCD)へ投資した方が株主としても顧客としても満足できる結果になるんじゃないかなと私は思います。マクドナルドの取締役会は、少なからずワンマン社長が牛耳る企業よりはちゃんと仕事をしているようですからね・・・
