ロイター通信によると、先日Googleの親会社であるアルファベットのCEOをラリー・ペイジ氏から引き継いだ、サンダー・ピチャイ氏が今後3年間、2億4,000万ドル相当の株式報酬を受け取るとのことだ。これは同社幹部に提示された報酬額としては過去最高額となる。

さらに、ピチャイ氏の年俸は200万ドルと、ラリー・ペイジ氏が昨年アルファベットCEOとして受け取った給与が1ドルなのに対してかなり高額報酬となっている。
サンダー・ピチャイ氏の手腕は確かに素晴らしいものがあり、米国企業のCEOにしては200万ドルの役員報酬は控えめとも言えるかもしれません。アルファベットの成長を支え続けてきたピチャイ氏を2億円プラス出来高で雇えるメリットはかなり大きいのかもしれないです。彼はそれに見合っただけの貢献をしてきたわけですからね。
ですが、アルファベットはここ最近成長率の鈍化が懸念されている。もちろん、期待されている成長率がそもそも高いというのもありますし、PERも30倍前後と、ハイテクのグロース株としてはそれほど割高ではないとも言える水準なのはわかっています(もちろん、PERだけで判断はできませんが)。
しかし、すでに収益の柱である広告収入は以前ほどの成長率を期待できるようなものではないですし、ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏が退任したのも、すでにGoogleがCEOが2人も必要ない成熟企業になったからだという旨の発言をしています。
株主としても、そろそろ配当金を期待したいフェーズでしょうし、このタイミングで人件費が上がって利益を圧迫するのは、あまり良い印象を持たないのではないでしょうか。
当然、Googleのビジネスの優位性が失われた訳ではないですし、まだまだ成長を期待できるというのは言うまでもありませんが、サンダー・ピチャイ氏に求められるCEOとしての手腕は、これまで以上に厳しいものになるだろうと言えるかもしれません。
また、当然ながらストックオプションの発行は、発行済み株式数の増加に繋がり、しかも株式報酬型のストックオプションは取得価額がほぼタダであることから、既存株主の1株当たりの価値を著しく希薄化させる効果があるため、あの投資の神様であるウォーレン・バフェット氏も一時期痛烈に批判をしていました。
このように、サンダー・ピチャイ氏のCEO就任によって株主は少なからず利益率の悪化と持ち株の希薄化を覚悟の上投資を続けなければなりません。
アルファベットほどの企業規模であれば、それほど利益率の悪化も持ち株の希薄化も限定的なのかもしれませんけどね。
ちなみに、ウォーレン・バフェット氏の役員報酬は、同氏がバークシャー・ハサウェイ(BRK)のCEOに就任して以来、ずっと一律で年間10万ドルと言われています。バフェット氏の20倍の価値を生み出し続ける手腕が、サンダー・ピチャイ氏に備わっているのか。今後ともアルファベットには目が離せないですね。