2019年は、株式投資をしている個人投資家にとって、『変革の1年』だったように見受けられます。私のような米国株投資家にとっても、大きな1年であり、今まで気にしていた米国株の最低手数料が撤廃になった上に、ネット証券各社が様々な手数料を撤廃・引き下げしてきたことから、変革によってかなり投資しやすい環境というのが整ってきているように見受けられます。
『年金2,000万円不足問題』に端を発して、個人投資家が一気に増えたことも原因の一つと言えるでしょう。

そんな投資家が増えているという素晴らしい状況にもかかわらず、国側はNISA制度を複雑で分かりづらいものに組み替えて、新しく参入する投資家をまるで避けているかのようにも見えます。

だからこそ、今年始めたばかりの投資家の方の中には、
『結局!どの制度を使って何に投資したら良いの!』
とご立腹の方もいらっしゃるかと思います。そんな方のお役に立てるように、今回は個別株、投資信託、国内・国外ETFのメリットとデメリットを比較した上で、より良いものを洗濯していただければと思います。
ただし、今回はサラリーマンとして本業が忙しく、投資にそれほど興味がある訳ではないが、漠然とした不安から資産運用を始めなきゃ!とお考えになった方を想定しております。我々のように、twitter上で米国株のティッカーシンボルを使って会話をするような、素敵なド変態(褒め言葉)を対象とはしておりませんので悪しからず。
個別株は、趣味の世界。
まずは、私もメインで投資している米国の個別株です。結論から言えば、『投資に興味がないのであれば個別株は投資対象とすべきではない』ということです。はい。おしまい。
と、いう訳にもいきませんので、理由を説明しますと、まず初めにいくら有望な米国株の個別投資とは言え、インデックス投資に勝つのはなかなかに困難なことです。もちろんたまたま1〜2年の間アウトパフォームすることはあるかもしれませんが、それを何十年も継続することは、ほぼ不可能。
米国の個別株は特に詳細な情報を得るのにタイムラグもあるし、英語を読み進めるのにも時間はかかります。そんな中でサラリーマンをやりながら個別株に投資して勝ち続けるのはほぼ奇跡としか言いようがないでしょうね。
私も自分が好きで信頼できる個別株に投資をしていますが、結局は決算書を見て自分で投資判断をするのが好きだからできていることです。投資に興味がないのであれば自分が保有する個別株の決算書を見るのも苦痛になるでしょうから、個別株投資はあまりオススメできるものではない、趣味の世界ということになります。
国内ETFってどうなの?
個別株がダメとなれば、投資信託かETFが選択肢になると思うのですが、私はS&P500へ連動するインデックス投資をオススメしておりますので、必然的に投資信託もETFもS&P500に連動するものになってきます。もちろん、S&P500に連動する国内ETFもあるのですが、ハッキリ言ってこれらもオススメできる代物とは呼べません。代表的な国内ETFは以下の3つです。
・SPDR S&P500 ETF(1557)
・上場インデックスファンド米国株式(S&P500)(1547)
・iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(1655)
ですが、これらのETFは全て信託報酬が税込で0.1%を超えており、昨今のインデックス投資の低い手数料率を考えれば、少し割高となっています。しかも国内ETFとは言え、当然分配金には米国の源泉税10%が差し引かれて入金されますし、上場インデックスファンド米国株式(S&P500)(1547)は、日本国籍のETFとなりますので、外国税額控除をすることができません。
SPDR S&P500 ETF(1557)は、米国にもSPYとして上場しているのですが、そもそもSPYよりも信託報酬の安い米国ETFがあるので、わざわざこれを選ぶ理由もありません。
iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(1655)も、1557より信託報酬が高いことから、選択肢からは外れるということで、3つともコスト面から見れば選択肢としては今ひとつなものばかりだと言わざるを得ないでしょう。S&P500に投資するなら、国内ETFは選択肢から外しても良いのではないでしょうか。
海外ETF or 投資信託
となれば、やはり投資対象は海外ETFか投資信託かという話になります。これは結論から言えば、『どちらでも良い』ということになります。いや、投げやりな訳ではありませんよ?米国ETFの手数料無料化に伴って、投資信託と海外ETFのメリットがほぼトントン、投資信託の条件次第では米国ETFの方が安くなる可能性も出てくるというのが現状です。
中でも私が投資しているVOOは経費率が0.03%とS&P500に連動するインデックス投資の中では最も安く、毎月コツコツ買い付けることで大きなリターンをもたらしてくれることだろうと思います。もちろんデメリットもあり、ETFは上場投資信託と呼ばれる通り、上場しているため1株単位でしか買付することができず、ドル建てなので為替手数料も必要、つみたてNISAでは買付できないなどのデメリットは存在しています。
ですがそれでも経費率を考えればかなりの優良ETFであることには変わりません。あと、分配金を自動で再投資できないというのもETFのデメリットですね。
逆に投資信託はメリットとデメリットをETFの真逆にしたようなものでありS&P500指数という海外の指標でも日本円で買付することができるので為替手数料は不要、一円単位から買付することができますし、つみたてNISAで買付することも可能です。
ですが、信託報酬は少し割高。S&P500指数に連動する投資信託で最も信託報酬が安いのは、『SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド』の信託報酬は税込0.0938%です。(驚異的な安さではありますが)
ただし、まだこのインデックスファンドは設定してから期間が浅く、人気が出ているものの実質コストは不明なままです。実質コストとは、記載の信託報酬以外に、ほぼサイレントで徴収されている『謎のコスト』を含むコストのことを言います。
私としては、『SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド』は実質コストが公表されから投資を始めるでも問題ないのではと考えています。実質コストがあまりに高額だった場合、VOOの方がコストが安いということになりかねません。
まとめ
色々と言ってきましたが、実質コストが分からない現状では、通常NISA(もしくは特定口座)で海外ETFを買付するのが良いのかもしれません。
ただ、実質コストが不明と言っても、信託報酬が0.1%を割るほどの超優良な投資信託が出てきた現状、SBI証券でつみたてNISA口座を活用される方であれば、『SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド』に『集中投資』するのがベストとも言えるでしょう。NISA口座より、つみたてNISA口座の方が時間を味方にできる分、有利になりやすいですから、つみたてNISAでSBI-VOOがベストアンサーとも言えるかもしれません。

なぜなら、こう言った比較をする場合、つみたてNISAと通常NISAはどちらも非課税枠を全額使い切る前提で話をすることが多いからです。
NISA枠の年間120万円は、全額使い切ったとしても非課税期間が短いばかりに、つみたてNISAより不利という判断をせざるを得ないのです。
もし、一般的なサラリーマンであるあなたの年間投資可能額が120万円に満たず、通常NISAの非課税枠を1年間で使い切ることができないのであれば、あなたは迷うことなくつみたてNISAを利用すべきです。通常NISAの非課税枠は、使い残してしまった枠を翌年に繰り越すことなんてできないのです。
しかし、投資初心者に本当に気をつけて欲しいのは、これらのインデックス投資は、もちろんその指標が暴落すれば同じように暴落する形になっています。つまり、市場が良くない時には株価は大きく下落するので、そのタイミングで積極的に買付を行うことができるか、うろたえて、狼狽売りしてしまうかが、投資家としての素養の一つだと考えています。
どうか後者のような『うろたえる投資家』にはならず、コツコツ積立投資のスタンスを忘れないようにしていただきたいものです。