プレジデント・オンラインでシニアの「お金に関する想定外」を紹介するという記事が、とても興味深かったです。

記事によると、現在63歳の松井さん(仮名)は、定年時の貯金額がマイナス1,000万円以下、つまり住宅ローンによって借金が膨らんだ状態だというのだ。その原因は、父親が所有する6LDKの一戸建てを、父親が倒れたことをきっかけに同居することになり、2000年頃に松井さんが建て替えたからだという。
しかも、彼は生涯賃貸暮らしのつもりだったため頭金の蓄えもなく、ほぼ全額を住宅ローンで賄ったというのだ。
いやいや…ちょっと待ってくださいよ。今から20年前、44歳の時点で彼は貯金がゼロだったんですか?それってさすがに無計画すぎやしませんかね?完全に「お金に関する想定外」ではないような気がします。まあ、想定していなかったのは事実でしょうから、想定外ではあるんですが…比較的、自業自得という言葉がしっくりくる内容でした。
44歳から30年ローンを組むというのも、ご自身の無計画さ故の行動ですよね。2000年当時は、まだ定年が60歳という企業も多く、ちょうどその年に高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正により、企業に対して65歳までの雇用確保措置を努力義務化されました。
つまり、彼は貯金ゼロ、現役時代は残り15年という状態で、残りの現役時代の倍の期間である30年ローンを組んだことになります。毎月の支払いが大きくなるとは言え、せめて20年ローンくらいに抑えておけば何とかできたかもしれないのに…というか、銀行側もよくGoサインを出しましたね。安定収入があればとりあえずOKだったんですかね?
そしてその後も、彼の『想定外』の事態は続く。曰く、家のリフォームと長男長女の結婚と出産による孫の出現だ。
私からすれば、なぜ自分の子供の結婚と出産を想定していないのかが全く理解不能です。そして、親も無計画なら子も同様に育つということだろう。結婚と出産を機に多額の出費を松井さんも負担することになったため、さらにジリ貧に追い込まれているということだ。
親がお金に関して無計画だと、大抵の場合子供も無計画になります。しかも、なまじ小さい頃から豪邸に住み、お金に苦労したことがない子供の方が浪費家として立派に成長することが多いです。
米国の億万長者からアンケートをとり、データを集めた名著、『となりの億万長者』でも、子供に対して教育、とりわけお金に関して教育することの大切さは随所に散りばめられています。
お金持ちほど謙虚に、慎ましく、節約して生活をしているものであり、世界有数の資産家で投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏のお子さんは、「幼い頃は、まさか父がお金持ちだなんて一度も思ったことがない」と発言している。それほど質素倹約が日常に溶け込んだ生活ぶりだったのでしょう。
資産家であるバフェット氏ですら、そんな生活を送っているのだから、我々が無計画なローンを立てたり、そもそも賃貸住宅だから貯金もほとんどしなくて良いなんて生活を送っていれば、破綻するのは当たり前です。そもそも、一生賃貸暮らしをするからと言って貯金がゼロなら生活がままならないのは当然です。
松井さんのファイナンシャルプランにはもともと計画性など無く、例え父親が倒れていなくても、二人の子供が生涯独身で実家暮らしのままでも、いずれどこかで確実に破綻する無計画なものだったと言わざるを得ないのです。
だからこそ、私は今すぐにでも、将来のお金のことについて少しでも考えて行動に移して欲しいと思うのです。よく言われる言葉ですが、これからの人生の中で、今が一番若い瞬間なんです。今から計画性をもって将来のお金について考えておかないと、いずれどこかで破綻する未来は確実に訪れることでしょう。
そして、プランニングを立てた上で足りない部分を補うために、一番若い今から株式投資をして資産形成に励むことがおすすめです。コツコツ貯金をしているだけでは将来のインフレには勝つことができなくなることは明白だからです。
そして、将来の明るい展望が見えてこない日本という国に投資するよりは、資本主義を引っ張り続けている強い米国に投資するのが、ここ200年間のトレンドだと言えるでしょう。
お金がなければ、自分の子供の結婚すら素直にお祝いすることができないんです。そんな惨めな老後を、あなたは送りたいと思いますか?
『一番若い』今こそ、将来に向けた資産形成に力を入れるべきだと私は思います。