ダイヤモンド・オンラインに非常に”興味深い”記事が掲載されている。

筆者曰く、誰もが知っている有名企業への投資は報われず、『1年で3倍になる小型株』に投資すれば10年で1億円を達成できるということだ。彼がいつから小型株に投資しているのか記事の内容だけでは不明だが、10年で1億円を達成できると豪語していることから、10年前から小型株に投資をしていると仮定します。
彼は1年で3倍になる小型株に投資することを当たり前のように言っていますが、事前に1年以内に3倍になる小型株がどれかは分かるはずがなく、実現性に乏しい手法であると言わざるを得ません。
その証拠に、10万円を10年間、利回り300%で運用したとすれば、10年後には59億490万円になります。本当に筆者の言う通りに運用し、それが実現できた場合と比較すれば、58億円以上の機会損失を被っていることになりますね。
では、なぜ10万円が10年間で『たったの』1億円にしかならないのでしょうか。それは、前述の通り、1年以内に3倍になる小型株を当て続けることが、天文学的な確率だからに他なりません。3倍に成長するかもしれない株は同じように3分の1になるリスクも顕在しています。もしくは小型株は銘柄によっては上場廃止・倒産などで紙切れになってしまう可能性もあります。
1年以内に3倍になる小型株に1点集中投資をし、『気づいた時には1億円』を達成しているということから、日々の株価の上下や、ニュースにも目を向けず、ふと思い出した時に3倍になった持ち株を売って、次の3倍になる小型株へ投資することが個人投資家が生き残る方法のようです。
1年後に倒産、もしくは株価が半減以下になっている可能性はどうなんだろう?誰も知らない小型株が、どういったニュースで株価が上昇し、どういったニュースで下落するのだろう。そもそも1年以内に3倍になる小型株ってどの銘柄なんだろう?
疑問はつきることがなく、なるほど著書を読んでみよう!と思わせるいい作戦かもしれません。
少なくとも私には、1年後にどの株が3倍以上に成長するかわかるという特殊能力は備わっておらず、普通の凡才、ただの一般人です。
まあ、彼からすれば私など、ビザ(V)やコカ・コーラ(KO)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)と言った誰もが知ってる個別株に100万円から投資を始めて、9年間でたったの3,000万円にしか資産を成長させることができなかったクソダサい投資家ですから、彼の手法を批判するつもりは毛頭ございません。
ですが、マイクロソフト(MSFT)やアップル(AAPL)という誰もが知ってる銘柄だって、今年1年で見れば、50%や70%という”それなりの“リターンを残しているのです。

投資手法というのは本当に人それぞれで、大型株への投資で儲けている人もいれば、小型株への投資とその経験をベースに個人投資家へ指導したり著書を出版することで儲けている人もいます。
ですが、誰でも資産を形成することができる再現性の高い投資手法なら私は知っています。それこそが、S&P500やNYダウへ連動するETFや投資信託への投資であり、10年で10万円を1億円にはできる保証はありませんが、30年で毎月10万円を1億円にするという実現可能性は大いにあります。

過去200年以上の期間で、米国株は平均してインフレ調整後で6%程度のリターンを上げることができたと言われていますから、『あり得ない』という訳ではないということが分かっていただけるかと思います。
多額の資産があった方が分散投資に有利であることは間違いありませんが、だからといって一点集中が絶対の正解とは言い切れません。
個人投資家の皆様はぜひ、誰かの手法をそのまま真似るのではなく、その手法を元に自分なりの考えを持って投資スタンスを確立していくことをおススメいたします。1年以内に3倍になる小型株への投資手法を”大発見“したのはあくまで著者なのですから、あなたにもそれが実現出来るかどうかは分かりません(もちろん、出来ないとも言いきれません)。
そして、特に深い意味はありませんが、私からはこちらの著書をおススメさせていただきます。
特に、深い意味はありませんがね。