スパークス・アセット・マネジメントが実施した調査によれば、20代女性投資家の41.2%が、今年投資を始めた「投資デビュー組」だったことが分かった。

今年は、個人的な流行語大賞である『老後2,000万円不足』問題に端を発して、投資に興味を持ってくれる若年層がとても増えたように思います。私も彼女や同僚に投資を勧めて実際に実行に移してくれたのですから、以前より投資に対する嫌悪感や抵抗感は無くなってきてるんじゃないかなという印象です。

20代のうちから投資を始めることに賛否両論あるかと思いますが、余剰資金を生み出してそれを運用するというのは今のうちからやっておかないと、「お金に余裕ができたら」なんて言っていると、いつまで経っても余裕なんてできません。本来の人間は、稼いだものは全て使い切る性質がありますからね。
証券会社の手数料引き下げ合戦もあって、投資の裾野が広がり、今年から始めたという人は全体で14%もおり、令和元年は、個人投資家元年とも言える年だったのではないでしょうか。

ですが、よく世界恐慌時の『靴磨きの少年』で例えられるように、投資の素人が投資の話を始めたらリセッションの前触れだという話があります。今年から始めた女性投資家の方々は投資素人が騒いでいるだけなのだろうか。結論としては、私はこの事実がリセッションの前触れだとは思いません。
私がtwitter上で交流させていただいている20代女性投資家の皆様は、投資の勉強をしっかりされていて、自分の投資スタンスを確立されている方が多いような印象を受けます。
それに、今回のデータを見る限り、投資の裾野は広まったと言えるのか定かではありません。日本人のうち、投資をしている人の割合は1割もいないのが現実です。今年、投資家デビューしたのは、そのうちの14%というのが現実です。あれだけ危機感を煽られながら、投資を始めたのはたったの1割強というのが現実です。
しかも一方で、投資経験者のうち21%が投資を離脱している。その内訳を見ると、投資開始から3年以下でやめてしまったということですから、継続することがいかに大変かということがわかります。
だとすれば、投資家の母数はそれほど増加しておらず、入れ替わりが起きただけであり、投資ブームはまだ起きていないと言えるのかもしれません。
ですがあくまでそれは日本での話。NYダウやS&P500指数という主要指数が最高値近辺にあるということは、歴史上最も世界中から米国株に資金が回っている状態だということです。世界のどこかではすでに靴磨きの少年がわずかな収入から米国株を買い始めて、お客さんに向かって得意げに話をしているのかもしれません。
むしろ日本人は今の状態でも、投資に乗り遅れていると言え、全く自分に関係がないのに、NYダウが暴落すれば内心喜んでいるのが日本人なのです。
ですが、株価が下落すれば喜ぶのは、非投資家だけではありません。個人投資家も今か今かと株価の下落を待っています。
米国株投資がブームだろうが、時代遅れだろうが、初心者が多かろうが、ベテランばかりのマニアックな相場だろうが、そんなことは些末な外的要因に過ぎません。
NYダウが史上最高値を更新しているということは、NYダウが開設されて以来200年以上、米国株投資がブームだったことを物語っています。
今年投資デビューを果たした投資家の皆様も、どうか2020年代を生き残り続けていただきたいと思う次第でございます。