楽天証券は今月29日から、投資信託の「定期売却サービス」を開始する。保有している投資信託を毎月決まった金額や口数、比率によって自動売却し、運用を継続しながら少しずつ現金を受け取れるようにするもの。定期売却サービスを定率指定で利用できるのは業界初とのことだ。

楽天証券では「定額指定」は1000円以上1円単位、定率指定は1%以上0.1%単位で売却単位を指定できるようで、定率指定で売却することを選べるのはメリットがあると言えます。
また、楽天証券のみならず、セゾン投信、ありがとう投信も定期売却サービスを開始・拡充する方向とのことで、ありがとう投信では、年1回の指定月に投資家が選択した定率(2、3、4、5%)で換金することができるほか、セゾン投信でも一定の口数を売却して毎月または隔月で現金を受け取る「定口売却」と一定の金額で売却する「定額売却」を提供する。
各種証券会社間で、色々なサービス向上の争いが続いていますが、こうやって切磋琢磨することによって、ユーザーがどんどん使いやすくなっていくのは非常にありがたいことです。
私はまだまだ出口戦略を考えるつもりはなく、SBI証券から出金をしたこともありません。ですので、まだまだこのサービスを利用することもないだろうと思いますが、株式投資の『出口戦略』というのも長期投資をしている身としては、一つの大きなテーマだと思います。
いくら米国株を3,000万円分保有していようが、現実世界で牛丼の一杯も食べれません(優待目当ての少数投資をしていれば別かもしれませんが)。だとすれば、いくら長期投資をしていても、いつかは資産を現金化して生活費に充てるということが必要になってくるのです。
特に、昨年から『つみたてNISA』が始まった関係上、投資信託に積立投資をしている投資家が増えていますから、将来的に投資信託の定期売却サービスにも一定の需要が生まれてくることでしょう。
では、定期売却サービスが使いやすくなった今、出口戦略をどのように立てるのが合理的なのでしょうか。
複数の投資信託を運用している方の場合、それぞれに定期売却の設定ができるようになっているようだが、まず優先して取り崩ししたいのは、基本的には『信託報酬の高いもの』から優先して取り崩していきたいです。持ち続けるだけで資産額に対して信託報酬という一定の手数料がかかるのですから、報酬利率の高いものを優先して手放していった方がコストは抑えることができますよね。
例えば、同じS&P500にベンチマークするインデックスファンドでも、信託報酬が最も高いものから順に定期売却の設定をするのがベストだと思います。
あとは、優先度として高いのが、『含み損が出ている』商品です。30年以上の長期で投資信託を運用すれば、おそらく含み損が出ている銘柄なんていうのはほとんどの場合出てこないのではないかと思いますが、当然含み益が大きい銘柄ほど、キャピタルゲインに対しての税金が大きくかかってしまいますので、含み益が大きいものよりは優先して含み損が出ている、もしくは含み益が小さい銘柄を売却していくのがベストと言えるのではないでしょうか。
せっかく個別に定率売却の設定ができるのであれば、割合をそれぞれで変えて定期売却をしたり、前述の通り、信託報酬が高いor含み損が出ている銘柄から順に定期売却をするよう心がけましょう。
そして何より大切なのは、売却する必要性がない時は売却しないこと。タイミングを見計らって持ち株を売却してしまうのは、機会損失が発生する可能性が高いです。いつからいつまで株価が低迷するのかは誰にもわからないことから、生活費が充分に稼げており、株式資産を溶かす必要がない場合は、売却しないことを選択するのが最も賢明だと私は思います。