米国株式市場は、今年最後のFOMCを控えたことと、ホリデーシーズンを迎えたことから、薄商いな日々が続いています。
NYダウも微減で取引を終えており、まさに様子見というムードが漂っています。

そんな中、サウジアラムコを除いては、時価総額世界一のアップルとマイクロソフトはともに前日比では株価が微減となるも、年初来から比較すれば見事なまでの右肩上がりを見せています。


ちょうど昨年の今頃からトランプ大統領による中国への牽制が始まり、米中貿易戦争がはじまりました。それに伴い、米国株は大きく下落を始め、NYダウは26,000ドル台から22,000ドル台半ばまで大きく下落。ついにリセッションが来たか!と米国株市場はざわつきました。
もちろんNYダウの指標であるアップルやマイクロソフトと言った個別銘柄も大きく下げることとなり、マイクロソフトは100ドルの大台を切る場面もありました。
ですが、その後2019年に入ってからは2社ともに特に大きな押し目もなく株価は上昇しています。今年1年を振り返るにはまだ早いですが、ここまでの経緯を振り返ると、NYダウ全体では年初来20%程の上昇を見せ、世界一、二を争うほどの超巨大企業であるマイクロソフトは50%、アップルに至っては70%もの上昇を見せました。
2社ともにすでにグロース株というよりは、IT業界では比較的古株で、スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツという2人のライバル関係にあった若者の切磋琢磨から始まり、すでにどちらも40年を超える社歴を有する企業です。
そういった歴史のある企業がいまだに2桁%の成長を遂げていることが信じられないことです。
そういった実体のある成長を伴って、年間で株の値上がりだけでMSFTは1.5倍、AAPLは1.7倍になったんです。驚異的以外の何物でもありません。
さて、個人投資家の中には、個別株に投資する時に大型株をあえて避けて、『バリュー投資』と言ってPBRが1倍そこそこに放置されているような、聞いたことのない小型株に投資する人が一定数居ます。
確かに割安に放置されていてその誤謬が見直された時、株価は大きく上昇し、莫大なリターンを得ることができるでしょう。
ですが、それはあくまで上手くいった場合に限ります。不況期の真っただ中ならともかく、ほとんどの個別株が上昇しているような今の市場環境でたとえPBRが1倍そこそこに放置されていたとしても、それらの銘柄のほとんどに投資価値は無く、バリュー株なのかどうかの判断は難しいです。
特に米国の小型株は日本にいる状態では情報を得るのが難しく、どうしても投資判断にタイムラグが発生しかねません。
そんな中で、わざわざ米国の中小株やボラティリティの高いIPO銘柄に投資するのはどうなのでしょうか。バリュー株投資もどきも、IPO銘柄投資も上手くいけば大きなリターンを得ることができる、ハイリスクハイリターンな投資法であることは否めません。
PBRが1倍ほどだから底値は限定的と思うかもしれませんが、そのままもし倒産してしまった場合は投資した元金は一切返ってこないです。
だとすれば、NYダウに名を連ねるほどの巨大な企業の中からお気に入りの銘柄を探して投資をする方が、少なくとも倒産リスクはPBR1倍未満の小型株より、はるかに小さいものと言えるでしょう。
株式投資を通じてワクワクドキドキするジェットコースターのような体験がしたいのであれば、そういった投資法を否定するつもりはありませんが、一攫千金を狙った『バリュー株投資』をしなくても、誰もが知ってる大型株への長期積立投資だけで、十分なリターンを得ることができるということがマイクロソフトやアップルの例からもわかるでしょう。
もちろん、これらの銘柄も絶対に安心などと言うことは無く、市場全体の後退期にはもちろん株価は大きく下落します。ですが逆に言えば、大きく下がる場面があるからこそ大きなリターンを得るチャンスが訪れるというもの。
NYダウに採用されているような超大型銘柄が市場全体に引っ張られて株価が暴落したタイミングこそ投資に適したタイミングであり、これこそがミドルリスクミドルリターンの大型株・長期積立投資なのです。
また、30年以上の長期的な投資をすることによって、株式投資のリスクは逓減され、債券のそれと同等にまで下がると言われています。
だとすれば、数か月で売買してしまうよく分からない銘柄よりも、30年間持ち続けれそうな気がする大型株のほうが長期投資するにはもってこいであり、わざわざ『割安な』中小企業の株を保有する必要はないのではないでしょうか。
投資の手法や考え方は人それぞれですが、長期的な投資を目指しているのであれば、誰もが知ってる大型株にも投資冥利はあります。
誰もが知ってる大型株は誰もが知ってるから割高なんてことはなく、その企業規模の大きさを武器に力強く成長し、今後もミドルリターンを株主に提供してくれることでしょう。