昨日、米ヘルスケア大手のジョンソン・エンド・ジョンソンが、兼ねてから問題視されていた同社のベビーパウダーへのアスベスト混入問題で、2つの第三者機関の検査でアスベストが混入されていないことを再確認したと発表した。

さらにその発表内容も実に面白く、FDAの報告について最も考えられる原因は検査サンプルの実験室汚染や、FDA委託先の研究所AMAアナリティカル・サービシズの分析担当者の不手際だと結論付けている。わかりやすく言うと、
天下のFDAさんが委託してる研究所大丈夫っすか?www
建物が古くてアスベストに汚染されてるか、もしくは担当者が無能かのどっちかっすよwww
と結論づけたということです。
この報道を受けて、ジョンソン・エンド・ジョンソンの株価は前日比1.62%と安定した上昇を見せました。

もし混入が認められず、ジョンソン・エンド・ジョンソンがシロだというのであれば、同社に対する信頼性はさらに高まることでしょう。
BtoC向けの商品は問題のベビーパウダーの他にも口腔洗浄液の『リステリン』やベビークリーム、『バンドエイド』など多岐に渡りますが、それでも売上高としてはわずか数%しかありません。
とはいえ、一般消費者に対するイメージ戦略としてはベビーパウダーからアスベストが検出されたなどあってはならないことです。
もちろん同社としては訴訟費用の支払いも回避できるため今回の報道は大きな意味を持つことになるでしょう。
訴訟問題を大量に抱える同社にとって、1つでも多く”シロ”の判定を勝ち取ることは重要で、むしろ
訴訟される⇒無実を証明するという流れを繰り返すことで、宣伝にもなり得るし、同社の訴訟にも負けない強固さを株主にアピールすることもできます。
もちろん、訴訟なんて無い方が良いのですが、とはいえ大きな訴訟案件が発生しないと株価が大きく下落するタイミングもないだろうしな。ジレンマですね。
とにかく、ジョンソンエンドジョンソンは何万とも言われるほどの大小様々な訴訟案件を抱えながらも、100年に渡って成長と発展を遂げ、50年以上連続増配の配当王銘柄としても有名な、ヘルスケアセクターの王者と言える銘柄です。ヘルスケアセクターの優秀なETFであるバンガード社のVHFへ投資している投資家の方でも、個別でJNJに投資しているという人も居るほど、安定感のある個別銘柄だと思います。
とはいえ、リーマンショック時には株価が60ドル後半から50ドル前半まで25%超の下落を見せたことから、それほどディフェンシブ銘柄という訳でもないことは留意しておく必要があるでしょうけどね。
しかしジョンソンエンドジョンソンは、1970年代の後半、ブームになった『ニフティ・フィフティ(素晴らしい50銘柄)』相場の頃、当時すでに大企業だった同社株のPERは60倍弱になるまで買い上げられていました。それでもその時に購入したジョンソン・エンド・ジョンソンを狼狽売りせず、長期投資をしていれば、S&P500を超えるリターンを叩き出すことができた(過去40年でS&P500が29倍に成長しているのに対して、JNJは87倍の成長を見せている)のです。
過去の40年とこれからの40年が同じとは限りませんが、すでに成熟期だと見られていたJNJがそこから40年間で87倍という規模にまで成長したのは驚異的であり、今後も少しはパフォーマンスが悪化するにせよ、成長を遂げるだろうと予測できるのではないでしょうか。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、消費者と株主の双方に大きな価値を与え続けてくれる企業として、これからの100年も成長を遂げることでしょう。