米小売業大手のコストコ・ホールセールは、11月28日の『感謝祭』当日に自社のオンラインショッピングサイトで表示速度が遅くなるなどの不具合が発生し利用が困難な状態となった影響で、約1,100万ドル(12億円)の損失を被ったとみられる。
原因としては、シンプルにアクセスの殺到によりトラフィック(通信量)が一時的に急増したためとみられている。
アマゾン・ドット・コム(AMZN)をはじめ、感謝祭、ブラックフライデー、サイバーマンデーまでの間は今年も順調だったようで、サイバーマンデーでは米国全体で1兆円を超える売上を記録したとのことです。


小売業としては1年で最も力を入れるべき日にシステムダウンで機会損失をしてしまったコストコ・ホールセールですが、私はこのニュースを見ても特にコストコに悪影響はないのではないかと考えています。
普通の小売業であれば、相当な痛手となるのは言うまでもないのですが、コストコ・ホールセールの強みは普通の小売業とは一線を画しています。
コストコ・ホールセールの強みは、『景気に左右されない小売業』であるということ。コストコは年会費を支払って加入する会員制の小売業であることは皆さんご存知でしょうが、コストコの利益の源泉は、おまけ程度にしか考えられていない『年会費』にこそあり、会費収入と純利益がほぼイコールとなっているのある。
そもそもコストコはサイバーマンデーだろうがブラックフライデーだろうが小売業での売上が利益に与える影響はそれほど大きくなく、コストコの商品はそのビジネスモデル上、ほぼ原価での販売ですから、毎日が特価と言えるのです。
さらに、オンラインショップだと発送費用がかかってしまいますが、従来の店舗型販売だと消費者が自ら店舗に赴き、自分で持って買ってくれるので発送費用がかかりませんよね。コストコにとっては従来通り店舗に赴いてもらって大量買いしてくれた方がありがたいのです。
コストコは年会費さえ払えば驚くほどの安さで買い物ができますので、不景気にこそ年会費を払ってでもまとめ買いして少しでも年会費の元を取り、節約したいという節約上手な方達に大変人気なお店なのです。
つまり景気の波に影響されにくく、アマゾン全盛期の時ですら、コストコのビジネスモデルはアマゾンでも崩せないと評価されていたほどです。
今は株価が高止まりしていますが、私自身コストコ・ホールセールは新規投資してみたいと考えている銘柄の一つであり、市場全体が悪化した場合には同社の株価も下がるだろうことから、そのタイミングで新規買付をしたいなと考えている次第です。
システムが安定して使えないと言うのは決してプラスにはなりませんが、他の小売業よりは影響は軽微なのではないかと考えています。コストコ・ホールセールの優位性はこれからも変わらないことでしょう。