米グーグルの持ち株会社アルファベットは3日、共同創業者のラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO、46)が退任すると発表した。現在、グーグルのCEOであるサンダー・ピチャイCEO(47)がアルファベットのCEOも兼務する体制となるようです。

ラリー・ペイジ氏と同じく共同創業者のセルゲイ・ブリン氏はともに取締役にはとどまり、引き続きアドバイスは続けるとのことです。
近年、ラリー・ペイジ氏は表舞台に立つことが少なくなっており、『グーグルで唯一検索できないのはラリー・ペイジの居所だ』と言われるほど謎に満ちた人物でした。 そんな彼は、両親のカール・ペイジとグロリア・ペイジがともにミシガン大学でAIやコンピュータープログラミングの教授をしており、まさに『IT界のサラブレッド』としてこの世に生を受け、6歳からプログラミングを始め、スタンフォード大学在学中にグーグルを起業するなど、まさに超エリート街道を突き進んできた人物です。
一方のサンダー・ピチャイ氏は、インド南部のチェンマイという街に、電気エンジニアで部品の組み立て工場を経営していた父と、速記者の母のもとに生を受けました。彼の家には自動車がなく、サンダー・ピチャイ氏が12歳の頃まで家には電話すらありませんでした。それでも優秀だったピチャイ氏は世界最高峰レベルの大学である、インド工科大学でエンジニアリングを学び、奨学金を得てスタンフォード大学に進んだ。 その後紆余曲折を経て2004年にグーグルに入社したという、経歴の持ち主で、ラリー・ペイジ氏とは対照的に『努力と苦労の人』のイメージがあります。
こういった背景からか、サンダー・ピチャイ氏の方が人間味を感じることができ、すでに愛されるCEOとしての立場を確立しているように思えます。

もちろんラリー・ペイジ氏の優秀さに関しては、文句のつけようが無いが、GAFAの他の創業者たちと比較するとどうしても『大人しい』イメージが払しょくできません。そのため、『創業者のカリスマ性』という観点から見れば一歩劣る感じがあります。
例えば、スティーブ・ジョブズ氏の亡き後のアップル(AAPL)や、ビルゲイツ氏から引き継いだマイクロソフト(MSFT)を低迷させたスティーブ・バルマー氏、 ウォーレン・バフェット氏やチャーリー・マンガー氏の後継者問題を抱えるバークシャー・ハサウェイ(BRK)、などのように経営者の交代による不安は他の企業と比べれば小さくて済むのではないかと考えています。
そのため、アルファベット(GOOGL)への投資をしている投資家にとっては悲観的になるようなニュースではなく、今まで通りアルファベットの優位性を感じる限り投資し続けるのがベストなのだと感じます。
むしろピチャイ氏の功績はすでに実証済みであり、『Google Chrome』の プロダクトマネジメントに携わったのも彼ですし、最近では 世界最高速のスーパーコンピューターが1万年かかる計算問題を量子コンピューターは3分20秒で解くことに成功してグーグルは量子超越性を世界で初めて実証したとして話題になりましたよね。

サンダー・ピチャイ氏のリーダーシップは、もしかすると、ラリー・ペイジ氏よりも期待できるかもしれませんし、ペイジ氏とブリン氏が共同で出した声明の中で、退任の理由について「会社が人間であれば21歳の若者になり、ねぐらから出るときだ」と説明したようにグーグルはすでにベンチャー企業と言うには大きくなりすぎており、安定性も増してくる頃ではないかと感じています。
となれば、我々が期待するのは、アルファベットがそろそろ配当金を出すフェーズに来ているのではないか。という点であり、今後数年の間には、ピチャイCEOのもとで配当政策が進められるのではないでしょうか。
今までアルファベットに投資するのをためらっていたのは、いまだに無配を貫いていたことも原因の一つであり、アルファベットの展開するプラットフォームは、事業優位性のあるワイドモートな企業であると感じています。
すでにグーグルのCEOであるピチャイ氏に真新しさは無いですが、彼のCEOとしての手腕にはすでに太鼓判が押されているため、今後は株主たちとどう向き合って行くかと言う前向きな姿勢を見せてくれれば、アルファベットは今からでも投資冥利のある優良企業と言えるのではないでしょうか。