つい先日、バークシャーハサウェイ(BRK)が、高級家具専門店リストレーション・ハードウェア・ホールディングス(RH)株を新規取得していたことが明らかになり、話題となった。

バフェットが買い付けたという情報だけでPTSで同社株は7%以上上昇するなど、いまだにバフェット氏の投資案件は世界中の投資家たちから注目されていることが伺えます。
さて今回は、惜しくもバフェット氏率いるバークシャーハサウェイが買収まであと一歩のところで競り負けたというお話です。バフェット氏が惜しくも買収することができなかった、テックデータは最終的にアポロ・グローバル・マネジメント(APO)に51.4億ドル、1株あたり145ドルで買収されることが決まりました。
これを受けて同社株価は、前日比12%超の大暴騰。

さらに同社株の株価は、年初来から見れば74%以上の上昇を見せている。

では、同社の何がそれほどまでに魅力的なのだろうか。同社のビジネスモデルは名前の通りのIT企業かと思いきや、ハイテクには関わっているものの、ハイテク製品の卸売会社である。北米、南米、欧州、中東、アフリカなど100カ国以上で付加価値再販業者、直販業者、小売業者、法人向け再販業者を対象に事業を展開しており、顧客にはあのアップル(AAPL)やIBM、ヒューレットパッカード(HPQ)、シスコシステムズ(CSCO)などの米国の巨大ハイテク企業がずらりと並んでおり、米国だけでなく、LGグループなども顧客のうちの一つとなっている。
同社の持つビジネスでの優位性(ワイドモート)は、その巨大なハイテク企業群へと繋がる物流網やロジスティクスそのものであると言えるだろう。
ハイテク機器といえば、精密機械かつ高額商品ですので、さすがの米国と言えど、Amazonの配達のように玄関先に段ボールを放り投げておくわけにはいきません。これらの精密機器の運搬に関わる物流会社はそれなりの経験を持っており、かつ安全性が保証されている必要があります。テックデータはこれらの大手ハイテク企業が認めるほどの企業ですので、この2つの懸念点をどちらもクリアしていると言えるでしょう。
とはいえ、そこは物流会社。利益率もそれほど高いとは言えず、FY19の営業利益率は1.64%。優位性の高いビジネスとはとても思えません。ただし、FY19の調整後一株当たり利益は11.05ドルと収益性は高いようだ。
会計上の利益率よりも収益性の高さを評価しているのであれば、バフェット氏が欲しがる理由もわからなくもないです。アップルがiPhoneを作るにもシスコシステムズがルーターを作るにも、テックデータのサービスは不可欠となっており、それが100を超える国々で活用されているのだから、この世にハイテク機器が残り続ける限りは必要とされるビジネスと言えるのではないでしょうか。
とは言え、他のバフェット氏が保有しているような銘柄群と比べればそこまで強力な『ワイド・モート』とは思えません。だからこそ、バフェット氏もこれ以上は割高であると感じてアポロとの競り合いを降りたのかもしれませんね。
だがしかし、今回の件でテックデータという企業の株は注目を浴び、買収完了までは出来高が増えるのかもしれませんね、すでに買収案の1株145ドル近辺まで上昇している同社株へ投資をする場合は、すでにハイリスク・ローリターンとなっている点は見落としてはなりません。注目が集まっているというだけで投資をすると、数ヶ月後には痛い目に合うかもしれませんよ。
そもそも短期投資(投機)を私は推奨していませんが、それでも投資初心者は、どうしても注目のイケてる株へ投資したくなるものです。それは自己責任で構いませんが、そのまま退場となりかねないほどの多額を注ぎ込むのはナンセンスです。すでにバフェット氏が欲しかった金額よりは株価が高くなっているということをお忘れなく。