米アマゾン・ドット・コム(AMZN)が昨日、米国防総省によるクラウドコンピューティングを活用した情報システムの大型入札案件を巡り、不当な政治介入による結果だとして米政府を提訴したことを明らかにしました。

アマゾン側は、「評価プロセスの多くの側面に明確な欠陥や間違い、紛れのない偏見が含まれていた」とし、「これらの問題を検討し修正することが重要だ」とコメントしている。
私自身もマイクロソフト(MSFT)の株主ではありますが完全にアマゾンが有利だと考えていたので、ハッキリと言ってビッグサプライズでした。

アマゾンが提訴してきたと言う事はそれだけ今後のクラウドサービスのシェアに影響を及ぼす可能性が高い案件であると言うことです。金額としても最大1兆円にも及びますし、何より信頼性が大切な国防に関わるシステムとして『国が認めた』と言うのは何よりの強み、安全性の保証としてPRしやすくなりますからね。実際には1兆円以上の価値はあると言って過言ではないでしょう。
アマゾンとしてもAWSのシェアトップを安定的にするためになんとしても発注を取りたかったと言うことでしょうね。ただ、最近のアマゾンは、本業の『Amazon.com』では、スパム商品に汚染されている上にもはや対策できないレベルにまで拡大していると言う。
対して、マイクロソフトでも直近でOffice365でメールが送信できないエラーが発生したが、その原因はスパム対策のアップデートが悪さをしていたと言うことだ。
スパムに感染してしまって手のつけようがないほどに広がったアマゾン・ドット・コムと、スパム対策のためのアップデートが原因でたまたまエラーを引き起こしてしまったマイクロソフト。どちらもマイナスイメージのつく情報ではあるが、ペンタゴンが求める信頼性の観点から見れば、どちらが優位かは明らかなのではないだろうか。
確かに今回のマイクロソフトの逆転勝利劇は、何かしらの偏見が介入した可能性を否定することはできません。ですが、アマゾンが米国政府の信頼を勝ち取るためには、まずは本業サイトのスパム対策に本腰を入れることが大切なのではないでしょうか。
『過ちて改めざる、此れを過ちという』という言葉にあるように、システムがエラーを起こすこと自体は仕方のないことです。当然起こり得ることとして認識すべきです。ただ、それに対して早急に修正をしたり対策を打つ事。その義務を放棄した場合、信頼度は一気にガタ落ちとなるのではないかと私は思います。
つまり、アマゾン・ドット・コムとマイクロソフトが、本当にイーブンな状態で再度争ったとしても信頼度で言えばマイクロソフトが勝利するのではないだろうかと私は考えています。
アマゾンには他の省庁で『AWS』が導入されているという優位性がありますが、この提訴で争っている間にも、マイクロソフトの『Azure』がペンタゴン以外の政府機関の中枢に進入していくかもしれません。もしそうなればマイクロソフトがさらに優位になるだろうという事は言うまでもありません。
と言うかそもそもマイクロソフトが正式に契約を勝ち取ったんですからね。やはりマイクロソフト一択となるべきでしょう。
アマゾンのAWSも素晴らしいサービスである事は確かですが、まずはやっぱり本業の方にはびこっている問題の解決に向けて積極的に取り組むと言う姿勢を見せて欲しいものですね。
現状だと、たとえアマゾンの訴えが認められて再投票となったとしても、変わらずマイクロソフトが勝利するだろうと感じます。