昨日、米FDAが2017年7月から推し進めてきたタバコのニコチン濃度を規制する計画を棚上げするという報道がありました。

この報道を受けて、特に影響が大きいとみられていたアルトリア(MO)の株価は前日比3.24%の上昇。その前の日の下落分を補って余るほどの上昇を見せました。


株価が底値の40ドル近辺で同社の将来性を信じて投資した投資家にとっては、すでに20%以上の含み益を与えてくれています。(と言っても半年前の水準にはまだ戻っていませんが。)

この背景には、昨今の電子タバコに対する規制強化が関わっており、電子タバコの方が既存のタバコより害がないと見られていたのが、最近では電子タバコも十分に有害なモノであるという認識が広まってきたことによります。
そして何より、電子タバコが規制されて、紙巻きタバコが普及した方が大国からすればオトクなのである。


こちらのデータは2017年時点の『紙巻きタバコ』の生産量を示したものなのだが、中国やインド、米国と言った積極的に『電子タバコ』の規制を推し進めた国がランクインしていることが分かります。
電子タバコを規制し、紙巻きタバコが普及すれば、これらの国は安定した税収とともに、紙巻きタバコの輸出による利益まで享受できてしまうのです。そりゃ、完全にタバコを規制はしないよなというところですね。
タバコの依存性の高さは何度も当ブログで取り上げている通りであり、昨日も帰り道で歩きタバコをしているオッサンが居たのでイラっとしたところなのですが、彼らは歩きタバコ規制など無視して歩きタバコを継続するんでしょうね。習慣と言うものは良くも悪くも簡単には止められないものです。飲酒運転同様に歩きタバコにも懲役か莫大な罰金でも科すべきだと思いますけどね。歩きタバコは他の歩行者にとって(人口密度の高い都心においては特に)十分に危険な行為です。絶対にやめてください。
タバコなんてこの世から消えてなくなれと思っている私個人からすれば、今回のようなニュースは非常に残念ではありますが、経済効果が期待できるのであれば、そこはあえて目をつむりましょう。喫煙者がこれまでどおりバカみたいにタバコを吸い続けて肺ガンを患えば、私が保有するメルク(MRK)の『キイトルーダ』の売上も伸びますからね。メルクは先日、2年連続の2桁%の増配を発表しており、これからも成長に期待が出来る銘柄です。そして、これからも喫煙を続けるバカには大変期待しております。
このような私情を除けば、タバコ事業は非常に収益性の高い事業であり、政府としても税収の増加があるため完全に規制することは難しいのです。
くしくも昨日、日本のタバコ銘柄であるJT(2914)も10月の国内紙巻きたばこの販売数量58億本、売上収益365億円と、前年同月比、販売数量で18.4%増、売上収益で18.5%増というニュースが出ておりました。
消費税が増税しようがタバコの消費は減らないどころか増加しています。 最近の経済的、政治的不安定さからストレスを感じている層のタバコ消費が増えているのかもしれませんね。
とは言え、喫煙者のほとんどが中年以上のイメージがある通り、最近の若年層はほとんど喫煙者はおりません。20代男性の喫煙率は2013年(平成25年)以降30%を下回り続けており、昨年度の20代男性の喫煙率は23.3%と4人に1人未満となりました。
今後10年、20年先を見据えての将来性は他の銘柄より不透明であり、売上高の減少リスクは高いと見えます。ただし、今の配当利回り7%~8%の水準で株を取得した投資家にとっては、減配しなければ、12年半~14年ほど持ち続けるだけで今の持ち株分の元は取れる計算となります。そればかりか、これからも少しずつでも増配するだろうことからもっと早く投資元本を回収できる可能性は高いです。
だとすれば、今の株価でタバコ株を信じて取得した投資家たちはこれからも保有し続け、高配当利回りを享受するのが良いのではないでしょうか。