昨日、オクラホマ州はオピオイド訴訟を巡り、新たな決定を下しました。同州が8月に命じたジョンソン・エンド・ジョンソンへの5.72億ドルの制裁金を、4.65億ドルへ、1.07億ドル減額するとのことです。

今年の8月に記事にしましたが、この裁判で当初オクラホマ州から求められていた賠償金額は最大170億ドル、日本円にして2兆円にも及ぶとのことだったので、およそ40分の1まで減額できたことになります。

減額の要因は、先月の公聴会で、子宮内でオピオイドにさらされた赤ちゃんの依存症を治療するプログラムを支援するために1億760万ドルの賠償金を含んでいたのだが、本来この支援のために確保すべきだった金額は10万7,600ドルだったとのこと。まあ簡単にいうと、『めっちゃケタ間違えた』ということです。この計算ミスを認めており、今回の減額に至ったということです。
ジョンソン・エンド・ジョンソン側も、『そんな計算ミス、他にもあるんちゃいますの?賠償金額の信憑性に欠けますわ!』とばかりに、更なる減額を求めて提訴する構えです。というか、そもそも同社としては「安心安全な製品作りを第一としている」という主張をしていますから、1セントたりとも賠償金を支払うのは不服だとしています。
しかし、今回の訴訟で同時に訴えられていた米国のパーデュー・ファーマとテバはそれぞれ2億7,000万ドルと8,500万ドルの和解金を支払うことに同意。パーデュー・ファーマに至っては、先日、オピオイド関連の訴訟が積み重なり、支払いに耐えきれず破産申請までしたところです。

このことから、1セントも支払わずに解決するのは難しそうですので、引き続き減額となる要素はないのかということなのでしょう。
今回の報道を受けて、ジョンソンエンドジョンソンの株価は3%以上の上昇。NYダウも史上初の2万8,000ドル超えとなりました。


医療保険サービスのユナイテッドヘルス(UNH)や医薬品大手のファイザー(PFE)とともに、好調なNYダウを牽引する形になりました。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、オピオイドの件以外にもベビーパウダーの件や骨盤メッシュ、股関節デバイス、その他の少数の医薬品による害を主張する何千にも及ぶ訴訟にも直面しています。ヘルスケア・医療品関連企業として、訴訟大国の米国で訴訟のやり玉に挙げられるのは仕方のないところです。にも関わらず、ジョンソン・エンド・ジョンソンはこれらの困難を乗り越えて成長し続け、連続増配57年という偉大な記録を持っている上に、S&P格付けにおいて、マイクロソフト(MSFT)と合わせて世界中でたった2社にしか与えられていないAAAの称号を与えられている超優良企業です。
ちなみに2016年まではエクソン・モービル(XOM)もAAAの称号を与えられていたのですが、『AA +』へ格下げ。2015年に私がエネルギーセクターへの新規投資でエクソン・モービルかシェブロン(CVX)か、それともロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)にするか悩んだ時に、参考としてS&P格付を見てAAAだったエクソン・モービルに惹かれて投資したという背景があったのですが、世の中上手くいかないものですね。今のところシェブロンが正解だったのかなという感じがします。
もちろん、この格付がすべてではないですし、そもそもこの格付は債務返済力を示したものであり、債券投資家が見るべき指標です。ですが、この格付はどれだけ安定してキャッシュフローを稼ぎ、事業から安定的な収益を得られているか。という銀行や債券投資家が気にする要点を押さえたものですので、株式投資家も参考にする余地はあるのではないでしょうか。
話はだいぶずれてしまいましたが、ジョンソン・エンド・ジョンソンとは、世界でもトップクラスに財務健全性があり、世界最高峰の法務集団が揃っており、なおかつ安定的な成長を見せる上に株主フレンドリーな企業です。
先日、twitterでフォローさせていただいているアキさん(@AkiGlobe)が、米国株ブロガー10名の投資する個別株を分析されておりました。
米国株ブロガー10名の最新保有株分析。
— アキ@日米豪株投資・海外で働く (@AkiGlobe) November 14, 2019
保有率トップはJ&JとVisaで80%。 4人以上が保有するのは添付の12銘柄でした!
集計させていただいた方々:@momiage0088 @yutan_stock @YutaInvestJP@tingisuhan01 @Yuki50479766 @waseibuffett @bam11300820 @K9aSats7ODu9pN9 @eden_0202 @komcdspxl pic.twitter.com/fMxKJkv3m8
素晴らしい投資家さんたちが揃う中で、僭越ながら私も10名のうちの一人に入れていただいたのですが、その分析の中で、JNJは10名中9名が保有する個別株として1位になりました。これだけ素晴らしい投資家さん達が、自分なりの銘柄分析を経て、個別で投資をするにあたると判断された企業。それがジョンソン・エンド・ジョンソンです。
未来のことはわかりませんが、これから先も、ジョンソン・エンド・ジョンソンは数々の試練を乗り越えながらも着実に成長し、株主にリターンを与えてくれる素晴らしい企業でありつづける可能性は高いと言えるのではないでしょうか。