今朝目覚めると、また衝撃的なニュースが飛び込んできた。ついにGoogleも金融サービスへ進出するとのことだ。
Googleといえば、つい先日個人の医療情報を入手し、巨大なヘルスケア市場で足掛かりを築こうとしていることを明らかにしたが、金融の分野にまで食指を伸ばしてきたようです。
Googleが提携するのは、シティグループ(C)で、シティのブランドを全面的に押し出すことで銀行業に必要な免許を取らずに運営をしていく方針とのこと。当面は当座預金口座を提供するなど、低いハードルからスタートするようですが、これだけ多くの顧客情報を保有するGoogleだからこそ、その影響力は甚大。最強の金融機関となり得るのです。
ですが、Googleは大手IT企業では金融サービスの後発組であり、GAFAと呼ばれる巨大IT企業群の中でも、アップル(AAPL)は電子マネー決済の『Apple Pay』や、こちらはゴールドマンサックス(GS)と提携したクレジットカードである『Apple Card』などをすでに実用化しているし、フェイスブック(FB)は頓挫しそうではあるが、仮想通貨『Libla(リブラ)』や先日発表された『Facebook Pay』は、米国で実用化されており、将来的には傘下の『Instagram』でも利用できるようになるとのことだ。
アマゾン・ドット・コム(AMZN)は、Amazonでの利用でお得になる『Amazon Mastercard』をいち早く発行しており、現在も水面下で銀行との新しいサービスについて協議中とのことだ。
Googleも『Google Pay』を実用化しているものの、GAFAの他3社と比べれば遅れている感じは否めない。とは言え、彼らの顧客情報の圧倒的な数から考えると後発だろうが、現状の金融機関に多大な影響を与えることは必至です。
ちょうど、日本でもYahooとLINEの提携によって、巨大な金融プラットフォームが完成しようとしています。(どちらも純粋な日本企業では無いところが悲しいですが)

対して、現存の銀行はこれからもかなりの苦戦を強いられることでしょう。リーマンショック以来、10年以上に及ぶ低金利が継続しており、すでに虫の息という銀行も多く、日本で言えば『地銀』と呼ばれる銀行のほとんどが経営難に陥っている。
それは米国においても同様で米国の銀行も苦戦しているのは同じで、銀行株が叩き売られているのもご承知の通りだと思います。
金融サービスをGAFAのような大手IT企業が独占してしまえば、現在の銀行に出る幕はなく、GAFAと提携しているシティグループ(C)やゴールドマンサックス(GS)と言った大型銀行のみが生き残るのではないかと考えられます。
さて、ここ最近、すっかりGAFAブームも過ぎ去り、以前のように皆が皆、GAFAと言うこともなくなってきたように感じます。
では、GAFAは一過性のブームで過ぎ去るのでしょうか?私は少なくとも、GAFAのすべてがこのまま凋落していくとは思いません。
GAFAと呼ばれる企業群が頭角を現し出した歴史は、ITというセクターで見ればかなり古く、一般向けのPCが普及し、インターネットが誰でも利用可能なコンテンツになったのは、マイクロソフト(MSFT)が『Windows95』を発表した1995年以降と言われています。
まだインターネットが普及して四半世紀ほどの歴史しかないのですが、例えばアップルが巨大企業へと成長するきっかけとなったのはiPodが発売された2001年からと、まだインターネットが成長を始めた頃でした。
フェイスブックが誕生したのは2004年。GAFAの中ではあまり目立ちませんが、その成長率たるや目を見張るものがあります。
アマゾン・ドット・コム(AMZN)が日本に参入してきたのは2000年からですが、この頃はまだアマゾンと言えば、南米ブラジルを流れる世界最大の川のことでした。しかし、数年のうちに日本でも有数の通販サイトになったことを覚えています。
Googleに関しても、2006年には『ググる』と言う言葉が流行語大賞にノミネートされるなど、検索エンジンとしての『Google』が一般に普及していたことがわかります。
GAFAブームは2年ほど前に過熱して少し落ち着きましたが、GAFAのサービスが人々の生活に浸透していたのはそれよりはるか前からだと言うことが伺えます。
大規模な投資ブームとして有名なものに、1970年代の初めに起きた『ニフティ・フィフティ(素晴らしい50銘柄)』と言うものがありました。このニフティ・フィフティに選ばれた銘柄のPERは当時としては歴史的に高くなっており、ブームの終焉と共に株価は大きく下落するのですが、ニフティ・フィフティ銘柄の中にはマクドナルド(MCD)やジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、ペプシコ(PEP)など、今でも個人投資家に大人気の安定的な成長をみせる企業が勢ぞろいしています。
すなわち、ブームとは一過性のものに過ぎず、たまたまその時代にその銘柄群にスポットライトが当たっていただけであり、ブームが去った後も大抵の大企業は成長をつづけ、長期的に見れば投資家達に大きなリターンを与えてくれるかもしれないということです。
GAFAも数年後、数十年後は今ほどの成長性は期待できませんが、今回のようなニュースを見ていると、少なくともあと10年は、相変わらず世界中のサービスを牛耳っているのではないかと思えるのです。多少の不況でも耐え抜くだけのキャッシュも持ち合わせていますしね。
これからもIT界の盟主として様々な分野に攻勢をかけるGAFAの面々は、一過性のブームに惑わされない投資家たちに満足のいくリターンをもたらしてくれるかもしれません。