昨日、豪4大銀行の一つであるウェストパック・バンキングが25億豪ドル規模の増資と減配を発表した。

豪銀決算で一般的な実質利益を示す調整後利益は2019年9月通期に68億5000万豪ドルと15%減少。金融危機直後の09年以来の減益となり、それに伴い期末配当は80セントと前年の94セントから引き下げた。
ウェストパック・バンキングといえば、高配当のADR(米国預託証券)銘柄として有名で、米国株投資家の間でも大変人気の個別銘柄となっており、何よりのメリットは、オーストラリアのADRは米国株のように配当の現地課税がないため、配当の二重課税がないことです。つまり、 NISA枠でウェストパック・バンキングを買い付ければ、日本でも配当金が非課税となるため、もともと高配当なのにそれが丸々投資家の手元に入金されるということです。
同様に、イギリスも配当の現地課税がないため、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)やユニリーバ(UL)、あと、米国銘柄ながら事業が全て海外向けのため米国での現地課税がほとんどないフィリップ・モリス(PM)あたりが高配当NISA買付銘柄として大人気でした。
そんな中でもウェストパック・バンキングは配当利回りが7%台とかなり高い水準だった訳ですが、今回の減配については個人的には何の驚きもありません。連続増配記録が途切れたという話もありますが、そもそも同行はリーマンショック時に普通に減配を発表しており、増配記録としては9年です。
もともと、ウェストパック・バンキングは業績に連動した配当金を支払うというスタンスですし、配当性向もすでに90%超えと、いつ減配されてもおかしくはない状況にありました。
つい先日、米国株人気ブロガーのもみあげさんが高配当銘柄に関する記事をアップされておりました。
もみあげさんは『高配当株のリスク』を中心に非常に勉強になる内容にまとめておられます。高配当銘柄への投資をするのであれば、やはり配当性向と連続増配はチェックする必要があります。
配当性向が100%を超えているということは稼いだ額以上に配当を払っていることになりますし、やはり配当性向が90%を超えている時点で減配リスクは大いにあると警戒すべきだと考えています。また、連続配当にしても、配当を始めたばかりの企業ならともかく、一度リーマンショック時に減配をしているということもあり、そこまで連続増配に期待ができる銘柄ではなかったと言えるでしょう。
私も実は一時期ウェストパック・バンキングの銘柄分析をしていました。次にリセッション入りした場合、金融株は今以上に叩き売られる可能性があるため、次の回復期に向けて新規投資をしようかなと思っていたからです。
ですが、オーストラリアの4大銀行で発生した不正融資や金利操作などの不祥事が明るみになり、その不祥事が意外と後を引いてダメージが大きいことから、同行への投資を見送っていました。

やはり、何らかの形で『不正』と名のつく行為に手を染める企業に投資するのは躊躇ってしまいますね。もちろん不祥事のない企業なんてこの世にはないと思っていますから、そんなことを言っているとどこにも投資することができなくなりますけどね。
ただ、オーストラリアは安定的な成長を遂げてきた国でもありますし、今後もそれが続く見込みです。また、ウェストパック・バンキング自体200年以上の歴史がある大企業であることには変わりありません。
今回大型の増資と減配という既存の株主にはダブルパンチとなる発表でしたが、仮に株価がリーマンショック時の10ドル未満程度まで下落した場合、次の回復時には株主のリターンに貢献してくれる高配当キャッシュマシーンと化するポテンシャルはあるのではないでしょうか。
今後も引き続きウェストパック・バンキングの動向を注視していきたいと思います。