長年、米国FDAからの認可が降りず、米国内での販売ができなかったアイコスですが、今年4月末にやっと販売の許可が降りたことで話題となっていました。

その後、秋から米国内でのアイコスの販売を開始するという発表をしていましたが、ついに先週、アトランタを皮切りに米国内でのアイコス販売が開始しました。これは同社への投資を続けている投資家にとってはかなりのプラス材料で、株価も爆上げの予感でした。

ですが、上昇率はわずか2%程度。先週金曜日は相場全体が好調で、NYダウ・S&P500指数ともに1.42%の上昇を見せました。


市場全体の伸びは上回りましたが、なかなかのビッグニュースにしては反応がイマイチ…という感じは否めません。それもそのはずで、米国ではアイコス販売開始と時を同じくして、電子タバコとの関連が疑われる米国での肺疾患は1080件と、初めて1000件超えが報道されたのである。
さらに今年9月にはトランプ大統領がフレーバー付き電子タバコの販売を禁止する方針を表明し、インドや中国といった巨大マーケットでも電子タバコが禁止されるなど、電子タバコというコンテンツに対して、逆風しか吹いていない。

さらにアイコスなどのタバコ製品は米国では厳しく広告が禁止されており、汚名返上の余地もない。アイコスは加熱式タバコではあるが、米国内での電子タバコの評価は、控えめに言っても最悪と言える今、アイコスの評価も決して高くはないだろう。アルトリアの株価も今年に入って2割ほど下がっているにも関わらず、プラス材料で市場平均をわずかに超える2%程度の上昇では寂しいものだ。
それだけ投資家が慎重になっているということだろうが、もしかしたら今こそタバコ株に投資を始めるチャンスなのかもしれない。バフェット氏の名言にあるように、
「他人が貪欲になっているときは恐る恐る。周りが怖がっているときは貪欲に」
という言葉に沿うのであれば、今こそ投資すべきかもしれないというのは分かるだろう。だが、ネガティブキャンペーンによってアイコスの印象が最悪であるという点が一歩踏み出せない理由とも言える。一般消費者を相手にするBtoCビジネスの場合はブランドイメージが大切だということは以前も記事にしました。

イメージが初めからマイナス状態では、普及するのになかなか時間がかかってしまうのではないか?というのが懸念すべき点です。その間に喫煙人口はどんどん減っていきますし、結局先細りになってしまうという可能性も大いにありうるのです。
ただ、日本でも紙巻きタバコはイヤだけど、アイコスはスタイリッシュだから始めてみたという、加熱式タバコをきっかけに新規参入してきた喫煙者層も一定数いるのは確かです。米国でも紙巻きタバコからのシフトチェンジのみならず、どこまで新規のバカなユーザーを泥沼に誘い込むかにかかっているのかもしれません。
私は喫煙する気もなければ喫煙者に近づきもしないので、タバコの未来はどうなるか分かり得ません。ただ、私の職場でも喫煙ルームがビルの中に1つだけあるのですが、平均年齢が30代と若いIT企業において、喫煙ルームの年齢層はおおよそ40代以上の方ばかりと、年齢層が高めになります。
喫煙ルームの年齢層が高いとは言え、役員の方達に喫煙者はいないため、弊社の喫煙ルームは、全員見たこともない社員の方ばかりです。
こういうところに役員連中との差が出るんだろうなぁ…などと余計なことを考えながら、喫煙ルームを横目に、私はリフレッシュルームに行くことが多いです。
興味深いのは、IT企業で社員の平均年齢が低めなのに、喫煙ルームに20代の若者がいないこと。もちろん20歳未満はいないのが当然なのですが、現在の喫煙者層は、もはや30代後半〜40代以上にしかいないんじゃないかと間違うほど、若年層にとってタバコは生活必需品どころか全く馴染みのないものなのではないでしょうか。
だからこそ、私はタバコの未来が予想できないのです。だから投資しようと食指が動かない。株価が10ドルくらいまで下がれば、さすがに投資してみようかなとも思えるのですが、収益性はバッチリというタバコ株ですから、そこまで下がることは期待できないでしょう。
投資するのであれば、アイコス販売後の決算で売れ行きが分かってからでもいいかもしれないですね。まあ、米国のネガキャンに負けず、順調にアイコスが大ヒットしたとすれば、配当利回り8%台で買えるのは今のうちだけかもしれませんけどね。