昨日、日本人のお金に関する知識の低さをまとめた記事を見つけました。
この記事によれば、日本はGDPで世界3位という経済大国であるにも関わらず、金融リテラシーは38位。相関性があるのかわからないが、幸福度は54位となっており、金融リテラシーが高い国は幸福度が高いということだ。
金融中央広報委員会が2016年に国民25,000人を対象とした大規模調査「金融リテラシー調査」を行ったらしいのだが、この調査に用いられたという問題が金融リテラシーの低さを露呈している。
問題:10万円を投資すると、半々の確率で 2万円の値上がり益か、1万円の値下がり損のいずれか発生するとします。あなたなら、どうしますか?
みなさんお分かりだろうか。おそらく出題者の意図は、リスクとリターンを比較して期待値がプラスになればリスクを恐れず投資すべきという話なのだろう。ちなみにこの設問における期待リターンは、
(2万円×50%+▲1万円×50%)=5千円
となり、元本10万円に対するリターンは5%となる。だがしかし、問題はそこではないのだ。この5%のリターンを得るために一体どれだけの期間を有するのかが記載されていないことが問題なのである。
たった5%のリターンを得るために例えば10年かかるのであれば、このような案件に投資すべきではなく、米国債にでも10年間投資していた方がよほどリターンが大きくてかつ安全と言えるだろう。それだけでなく、10年間で期待値が5%の案件ならおおよその投資案件が当てはまることだろう。
逆に、1週間で5%の期待リターンを得られる案件があれば、それは魅力的だろう。だが、現実社会で1週間で確実に5%の収益などと謳っている投資案件は大抵の場合詐欺であることから、慎重にならざるを得ない。だが、今回の場合はあくまで問題として確実にリターンが5%ということで全力投資してみたいという話になる。
この問題を出している出題者が、投資における『時間の価値』を軽視していることがよくわかる。出題者がこれなのだから、この設問を見るだけで日本人の金融リテラシーの低さが垣間見えるのである。
投資において時間の価値は決して軽視できない。それが、長期投資が有効であると私が主張する一番の理由である。米国株の年リターンは平均で7〜8%と言われているが、これは、毎年確実に7〜8%儲かるという意味ではない。プラスになったりマイナスになったりしながら、長期的に確実に成長していくのが株式投資の魅力である。日本人が短期的なリターンにばかり目を向けがちなのはよくわかるが、そういう人間が多いからこそ、長期投資が有効なのである。
出題者側が時間の価値を軽視している限り、日本に金融リテラシー教育が根付くことは無いだろうと感じた次第です。