先日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に興味深い記事が掲載された。
この記事によると、インデックスファンドの資産額は8月末時点で4兆2700億ドル(約461兆円)と、月次報告ベースで初めてアクティブファンド(4兆2500億ドル)を上回ったとのこと。今、ウォール街ではどのような変化が起きているのだろうか?
インデックスファンドの隆盛の原因は明らかであり、ひとえに取引コストの下落である。日本国内だけで見てみても、インデックスファンドと呼ばれるNYダウやS&P500と言った市場の指数に連動することを目的としたETFや投資信託のコストは年々下落している。例えば、代表的なインデックスファンドである、バンガード社のバンガード。S&P500ETF(VOO)は、年間にかかる経費率がなんと驚異の0.03%!100万円分のVOOを持っていても1年間でわずか300円しか経費がかからない計算だ。
さらに、ETFより信託報酬が高く、私は敬遠していた投資信託の中にも、今月12日より募集を開始した「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」が信託報酬率0.09264%程度と驚異の低コストを実現したことで話題となった。

この投資信託は、VOOを投資対象としており、VOOよりは経費率が高いのだが、VOOとは違うメリットがあり、投資信託のため、分配金を受け取らずに配当再投資を行うことができるのだ。また、日本の投資信託であるため、為替手数料などもかからず、円貨でそのまま買い付けを行うことができるので、経費率の差以上にメリットが大きいように思える。正直、私自身も毎月のVOOの買い付けを「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」に乗り換えるかもしれないほど魅力的な商品です。
一方で、米国に目を向けると、さらに低コスト化が進んでおり、信託報酬がゼロやマイナスといったファンドまで登場しているのである。

もっと言えば、個別株への投資にかかるコストもここ数年で大きく下がっている。日本のネット証券各社が最低手数料の撤廃に向けて値下げ合戦をしたことは記憶に新しいことでしょう。

さらに今の時代、個別株への投資判断に必要な情報を拾うことは個人レベルでも難しいことではありません。そんな中でわざわざ高い信託報酬を支払ってアクティブファンドに資金を投じる人が減ってもなんら不思議ではありません。むしろ自然の流れだと捉えることができます。
今後もインデックスファンドへの資金流入は増加することだろうと思いますが、だからと言ってアクティブファンドがなくなる訳ではありません。アクティブファンドのファンドマネージャーたちは市場平均を超えるリターンを得ることを目的としています。もちろんそれが相当難しいことであるのは理解の上ですが、それでも人間は欲深いですからね。インデックスファンドではつまらないと感じる投資家が多いのも事実です。
というより、私も個人で個別株への投資をしているので、広義の意味ではアクティブファンドのマネージャーです。そして当たり前の話ですが、インデックスファンドの投資対象である株式指標は、個別株の集合体ですから、そもそも個別株への投資家がいなければインデックスファンドも成り立ちません。市場参加者全員がインデックスファンドへの投資をするということはありえないのです。
普通なんて嫌い!平均なんかじゃ満足できない!という厨二病患者や、株価が下がって配当利回りが高い今こそフルインベストメントじゃあ!というド変態(いずれも褒め言葉です)な投資家たちがこの世にいる限り、アクティブファンドが消えることはないでしょう。私もこれからも趣味の一環として個別株+インデックス(VOO)への投資を継続していくつもりです。