サウジアラビア当局者がサウジアラムコのIPOの延期を検討しているとのこと。背景には、先日のサウジアラムコの石油生産施設へのドローンによる攻撃があるとみられている。

サウジアラムコはもともと、今年の11月に国内の証券取引所に上場した後、海外市場に上場する2段階のIPOを計画していた。サウジアラムコは予定通りアナリスト向けプレゼンテーションや銀行筋との会合を実施する見込みだが、サウジのエネルギー当局者とアラムコ幹部陣は、原油生産が完全に復旧するまでIPOを延期することを検討している。
ほんとかなぁ〜〜〜?

私が思うに、今回の石油設備への攻撃は、原油価格の上昇を狙った自作自演の可能性があるのではないかというところです。あくまで推測ですが、サウジアラムコのIPOに際して、もともと原油価格を80ドル〜100ドルの水準まで上昇させたい思惑があるサウジアラビア政府にとっては今回の攻撃はマイナス面ばかりではないと考えています。むしろ週明けの原油価格の急騰を見れば、願ったり叶ったりの状況とも言えるかもしれない。
しかし、急騰したとは言え、いまだに原油価格は60ドル前後をウロウロしており、しかも米国が戦略的備蓄からの石油放出を許可したため、石油供給の安定が材料視され、一時的に50ドル台まで下落する場面もあった。


このままでは、今年の11月までに原油価格が80ドルを超えることは難しいであろうことから、IPOを延期したいんじゃないの?と考えられなくもないと言えます。まあ、あくまで私の推測ですが。
実際、石油生産設備を攻撃されたことによる影響はこれから大きく出てくる可能性は大きいです。
過去10年間の好景気を裏から支えてきたのは原油価格の安さでした。リーマンショック直前には1バレル140ドルを超えていた原油価格ですが、リーマンショックを受け、1バレル40ドル未満まで下落。その後、原油価格が上昇する場面でも110ドル程度までしか上がりませんでした。原油価格が下落すれば、製品の製造コストも、それらの運送コストも安くすみますので、石油事業以外の企業としては原油の下落はウェルカムなのです。
サウジアラムコの石油生産設備が破壊されたことで、どの程度、同施設の稼働が停止されるのか不明ですが、エネルギー関連の生産設備ですので、復旧までに1年以上かかる可能性も高いです。
素直に見ればIPOに力を入れている場合ではないというのは納得できる話です。ですが、なんとなーく、自作自演のような、ナイスタイミングでの攻撃だなというのが私の正直な感想です。
まあ、報道通りIPOは順当に延期になるだろうと思います。投資家心理も冷めている現在、無理に上々するメリットはあまりないだろうと私も考えています。