バフェット氏も愛用するDCF法で『適正株価』を求めてみよう。〜生活必需品セクターは割高なのか?〜

投資実務
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昨今の世界的に不安定な情勢を意識してか、最近米国株ではITセクターからディフェンシブな資本財や生活必需品セクターへと資金が移動しているように見受けられます。特に生活必需品セクターのプロクター・アンド・ギャンブル(PG)やコカ・コーラ(KO)のPERが、ITセクターのマイクロソフト(MSFT)やアルファベット(GOOGL)を上回るなど、一見割高な水準に見える。

今回は、なんとなく割高ということでは納得ができないと言うことで、プロクター・アンド・ギャンブルとコカ・コーラの適正株価を計算してみました。今回、適正株価の算定に使用したのは『DCF法』と呼ばれる計算方法で正式名称は『Discounted Cash Flow法(割引キャッシュフロー法)』と言い、投資の神様であるウォーレン・バフェット氏もこの方法で適正株価を算定しているとのことです。それでは早速中身を見ていきましょう。

※ここからは会計的な小難しい話が続きますので、結論だけ知りたい!という方はこちらをクリックしてください。

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DCF法とは?

まず最初に、DCF法の計算式は以下の通りになります。

適正株価=1〜n年目の株主利益の割引現在価値+継続価値の割引現在価値

はい。何言ってるか分かりませんね。これだけで理解できる方は、大変深い知識をお持ちの方だと思います。私も何言ってるか分かりません。1つずつ説明していきます。

1〜n年目の株主利益とは?

まずは1〜n年目の株主利益についてですが、これは株式会社が永久に継続することを前提として運営されているため、期間をある程度区切らなければ永遠に計算し続ける必要があるため、どうしても一定の期間で区切りを入れる必要があります。今回は便宜上10年間で区切りをつけることとしました。そして、株主利益については、以前の記事でも記載した通り、

株主の利益=EPSだと考えていますので、今回はEPSをもとに計算したいと思います。今回の計算の基礎として、1年後から10年後までの予想EPSを使用いたします。

割引現在価値とは?

そして一番厄介なのが割引現在価値と言う考え方です。例えば、

・今すぐ100万円貰える
・1年後に100万円貰える

という2つの選択肢があったとすれば、あなたはどちらを選ぶでしょうか?当然、貰える金額が同じであれば、1年後より今すぐ貰った方がお得です。なぜなら、今すぐ100万円を貰った場合、それで年利1%のノーリスクの商品を購入しておけば1年後には101万円になるからです。つまり、今現在の100万円は1年後には101万円の価値があることがわかります。逆に言えば、1年後の101万円は1%のノーリスク商品が存在する世界では現在の100万円の価値しかないということがわかります。

同様に1年後の100万円には現在99万円の価値しかなく、今すぐ100万円を貰った方がお得ということになるのです。これが割引現在価値の考え方です。将来の価値を現在の価値に割り引いて算定するから割引現在価値という名前がついています

継続価値とは?

すべての企業は永久に事業を継続し続ける前提ですから、その永遠に継続する価値についても割引計算をしなければなりません。とはいえ、当然永遠に続く価値のすべてを割り引くことはできませんので、継続価値を算定する計算式があります。

継続価値=n年目のEPS×(1+永久成長率)/(割引率−永久成長率)

これも何言ってるのかよくわからないですよね。DCF法では、n年目以降の長期にについては永久成長率という割合を使って将来の価値を算定します。この永久成長率についてはかなり保守的な数値を使われることが多く、GDPの成長率を利用することが多いです。(もっと保守的ならば0〜1%程度の数値を利用することもあります)。米国のGDP成長率は2.1%でしたので、永久成長率は2.1%に設定いたします。

割引率の設定

そして割引率の設定についてですが、現在価値に割引く時にも使用する大事な指標ですが、実は目安となる数値は特にありません。つまり自分自身で好きなように決められるのですが、ここは合理的にいきましょう。まず、先ほどの例であげた割引率が1%というのはノーリスク資産へ投資した場合の割引率ですので、株式投資の場合はもう少し割引率を高くしても良いのではないでしょうか。株に投資をするということは、現在手元にある資金を将来の株のリターンで資産価値を増やそうとしているということですよね。株のリターンは、

株のリターン=ノーリスク資産の収益率+リスクプレミアム

という数式に当てはめることができますので、この株の期待リターンを割引率として設定するのが妥当だと私は考えます。過去の米国市場のデータから、株に対するリスクプレミアムは平均5.7%と言われています。つまり、株のリターン=ノーリスク資産の収益率+5.7%となります。

現在の米国の10年債利回りはおよそ1.5%ですので、株のリターン=割引率は1.5%+5.7%で7.2%といたします。

前置きが長かったですが、これである程度準備が整いました。では計算していきましょう。

プロクター・アンド・ギャンブルは割安か?割高か?

現在の株価:120.23ドル

2019年度の予想EPS:4.52ドル、2020年度の予想EPS:4.85ドル(成長率7.3%)のため、

・今後10年間の利益成長率は7.3%
・永久成長率は2.1%
・割引率は7.2%

として計算する。

コカ・コーラは割安か?割高か?

現在の株価:55.04ドル

2019年度の予想EPS:2.08ドル、2020年度の予想EPS:2.11ドル(成長率1.4%)のため、

・今後10年間の利益成長率は1.4%
・永久成長率は2.1%
・割引率は7.2%

として計算する。

適正株価はあくまで参考

今回の簡易的なDCF法による適正株価の算定はあくまで参考であり、割引率や利益成長率などが1%でも変われば結果は大きく変わります。すでに大きな成長が見込めないプロクター・アンド・ギャンブルが今後10年間継続して7%以上の成長率を見せてくれるかどうかは不明です。ちなみに成長率を1%だけ下げて6.3%にすれば理論株価は118.85ドルとなり、現在の株価はほぼ適正であるという判断ができます。

コカ・コーラにしてもここ数年は利益率の向上のために採算が取りづらい事業を手放すなどしていることから、EPS自体が低くなっています。ですが利益率は以前より良くなっており、今年に入ってから高利益率でおなじみのエナジードリンク事業に新たに参入しましたので、いくら老舗のディフェンシブ株とはいえ、今後10年間の成長率が1.4%は低く見積もりすぎかもしれません

とはいえ、プロクター・アンド・ギャンブルは株価が100ドルを超えたあたりから、割高と言われ続けていますが、計算してみたところまだ割高とは言えない水準とも考えられます。

どのような数字を根拠とするかで計算方法は大きく変わってしまいますが、今回使用した成長率や割引率はそれほど現実離れした数値でもないと私は考えています。

また、本来のDCF法はフリーキャッシュフローや現在の現金、負債残高などをもとに同じように割引現在価値を求めるやり方ですので、本来の方法で計算すればまた結果は違ってくるかもしれません。

今回の手法はEPSこそが株主の利益そのものなのだという理論が前提として成り立っています。

適正株価の計算方法として、他にも配当割引モデル以前紹介した簡易的な方法も存在します。

要は色々な適正株価の計算方法を知っておくことで、一見割高に見えてもお買い得な株を発見できるかもしれないということですので、一度ご自身で『適正株価』の計算をしてみてはいかがでしょうか。

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