三大メガバンクの決算が出そろいました。3グループともに前年比で利益が減少しております。三井住友フィナンシャルグループ(8316)は純利益が1%減の7,266億円、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は11.8%減の8,726億円、最もひどかったみずほフィナンシャルグループ(8411)は構造改革の取り組みによる損失、6,954億円を計上した影響で前期比マイナス80%を超す大幅減益の965億円となりました。こうした状況にも関わらず、こちらも揃って投資信託や保険商品の販売ノルマを廃止することが発表されました。
従来のビジネススタイルはまさにブラック企業と言える
従来では、多くの銀行は本部が設定した販売ノルマをそれぞれの支店に割り振りし、さらに支店ごとに支店長が各行員にノルマを割り振るというスタイルでした。
ですが、行員が個人のノルマ達成のために無理やり金融商品を販売しなければならないというまさにブラック企業といった状態に陥ってしまっているのが現状でした。
行員による営業の実態
各行員に割り振られたノルマは1ヶ月ごとにいくら売るというようなもので、販売額にパーセンテージをかけた利益が目標設定の元となっています。販売ノルマの達成は行員の人事評価に直結します。銀行業界というのは特に人事の力が強く、全国に支店を有するメガバンクであれば、人事の評価次第で遠く離れた支店に転勤を命ずるといったことも可能と言えるでしょう。そのため、各行員は何としてもノルマを達成しようと利益率の高い金融商品をしつこく勧めるという方針を取らざるを得ません。また、顧客側も銀行との付き合いだからといってしぶしぶ購入せざるを得ないということで成り立っていたというのが実態です。これは顧客側の弱い立場を利用した悪質な営業と言えるでしょう。
ノルマの廃止でさらに収益性は悪化
そんな中、このような販売手法を金融庁が問題視し、今回の販売ノルマの廃止に至ったということです。3大グループともにすでに現役続きでボロボロなところに販売ノルマがなくなれば今までのように無理やり金融商品を勧めることもなくなり、わざわざ手数料の高い銀行で金融商品を購入する顧客は激減するだろうことから、今後もメガバンクの収益性がどんどん悪化していくことが見込まれます。そんな流れの中でも、日本株の中で最も活発に取引されているのがみずほフィナンシャルグループ(8411)で第2位が三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)であるというのが日本株市場の情けなさと言えます。私は金融株には投資していませんが、仮に金融関連株に投資をするとしても、日本のメガバンクには投資冥利を感じませんので、見向きもしないでしょう。
まとめ
販売ノルマの廃止によりメガバンクの収益性はさらに悪化する見通しですが、顧客からすると儲かる見込みのない手数料の高い金融商品を無理やり買わされることがなくなるため、朗報と言えるでしょう。