米国の優良株に長期投資をする。という投資手法を日本の個人投資家が実践するのが一般的になったのは、おそらくここ数年の話だと思います。私自身、米国株に初めて投資をしてからまだ10年も経っておらず、長期投資を語るにはまだまだです。なぜ、ここ数年で一気に米国株投資が一般的になったのかというと、ネット証券の普及と海外株投資の手数料が一気に下がったからではないでしょうか。
たった0.45%の手数料で米国株に投資ができる環境は素晴らしい
まだ2、3年前までは米国株の買付手数料はSBI証券で最低でも25ドルからととても気軽に毎月投資をするという環境ではありませんでした。
それが、SBI証券では現在約定代金の0.45%(最低5ドル、上限20ドル)とかなり割安になりました。(それでも日本株よりは高い手数料ですが・・・)もちろん、これからまだまだ手数料が下がってくれるというのが一番ありがたいですが、たった0.45%で優良企業がひしめく米国株式市場の個別株に投資ができるというのは破格です。
日本の高齢者が投資をしてこなかった理由
日本の個人金融資産はおよそ1,829兆円と言われていますが、そのうち52.5%の961兆円を締めるのが『現預金』です。特に高齢者の現預金比率は高く、政府が貯蓄から投資へという政策転換をしているにも関わらず、なかなか投資が進んでいません。日銀総裁の黒田氏が「日本人にお金を使わせるのがこんなに難しいとは思わなかった」と発言するほどです。
ですが、現在の高齢者が20代、30代の頃から投資をしてこなかったのにはちゃんとした理由があるのです。
昔は株式投資をするには対面販売しかなかった
まずは、株式投資をするにも現在のように環境が整っておらず、一般人は株式投資をするためにはまず証券会社に足を運び、自称・投資のプロたちの営業トークを聞かされ、流行りの銘柄を購入するのに数万円の手数料を取られてしまうという明らかに負けにいってる株式投資しか手法がなかったことが原因ではないでしょうか。これだと当然勝てないので、わざわざ株式投資なんてしなかった訳です。
貯金で十分に資産が増えた
そんな彼らでも順当に資産を増やす方法は存在していました。それが「貯金」なのです。
貯金と言っても、今の銀行の金利などとは比べ物にならず、1974年に普通預金の金利が過去最高の3%だっただけでなく、1980年代~1990年代前半の郵便局の定期預金はなんと8%もあるというような時代でした。もちろんインフレを加味すれば実質リターンはもう少し下がりますが、米国株の過去100年間の平均リターンが年率7%弱であることを考えれば、元本保証で8%のリターンは非常に魅力的に思えます。私も当時生きていれば定期預金に資金を預けていたかもしれませんね。
そもそも、収入が右肩上がりだったので、将来に対して楽観視できた
さらには、高度経済成長期やバブル期では資産運用などしなくてもどんどん収入が上がっていくというのが当然でした。
そんな時代にサラリーマン生活をしていれば、わざわざ将来のためにコツコツ投資をしようなどという考えが起こりづらく、明日は今日よりもっと稼げるのだから今日の稼ぎを使い切って楽しく生きようと考える人がいても何も不思議なことではありません。将来が不安だからこそ資産形成をしようと考えるのではないでしょうか。
失われた30年を生きてきて良かったと思う
私のような20代や30代前半の方はバブルが崩壊するとともに生まれ、これまでの人生「失われた30年」生きてきたわけですが、私は幼少期からこうした環境で生きてきたことや、いわゆる「ゆとり教育」という柔軟な教育を受けたおかげで、最低限のお金で生活をし、資金を投資に回すという回答にたどり着けたのだと感じております。そう考えると、「失われた30年」の間に日本人にも個性や生き方の多様性が認められるようになったことはメリットではないかと思います。
「貯金は美徳」から「投資は美徳」の世の中へ
これから、私よりもさらに若い世代は投資に興味を持つ必要があります。これは、少子化によってこれから先も収入が劇的に増える見込みはなく、年金などの社会保障もすでに破綻しているからです。もはや投資をする者とせざる者では、天と地ほどの違いが生まれてくるでしょう。
令和時代を生きるこれからの若年層のためにも、我々のようなネットを活用した個人投資家の先駆者が成功して道標になっていく必要があると考えています。
これから30年後、40年後には『投資をすることが美徳』と言われるような社会にするためにも、コツコツ長期投資を続けていきましょう。