都内在住の鈴木さん(仮名)は現在21歳。地元の高校卒業後、近くの工場で就職をしたものの、人間関係を拗らせてしまいわずか半年で退職。その後再就職先も探さずフラフラしていたため実家にも居づらくなり、20歳の時に上京。先立つ資金も無かったため、部屋を借りることもできず現在は日雇いのバイトをしながらネットカフェで寝泊りを続けるいわゆる『ネットカフェ難民』である。
ネットカフェ難民の1ヶ月
鈴木さんのキャッシュフロー
・収入(手取り) 14万円
・支出
宿泊費 6万円
食費 4万5千円
通信費 1万円
洗濯代 2千円
交通費 8千円
雑費 6千円
合計 13万1千円
差引 9千円
鈴木さんは5ヶ所のネットカフェをローテーションしながら寝泊りをしていると言う。ネットカフェ難民である彼はいわゆる住所不定なので当然まともな就職先などは無く、昼間に引越し作業や倉庫の仕分けなどの日雇いバイトをしている。大体1ヶ月の稼ぎは手取りで14万円くらいです。ネットカフェのナイトパック料金が1日2千円程度なので、1ヶ月の宿泊費は6万円。6万円出すのであればワンルームの部屋を借りた方が良いとお考えかもしれないが、前述の通り、先立つ物が何も無い状態で上京したため、部屋を借りる初期費用すら払えないのだ。
宿泊費以外にも必要経費はたくさんある。まず食費。1食を500円以下に抑えても月に4万5千円はかかる計算だ。洗濯は週に一度コインランドリーで済ませる。洗濯1回が300円と乾燥機2回で200円。それが月に4回で毎月2,000円かかることになる。さらに、バイトが遠方の時はどうしても交通機関に頼らざるを得ず、1ヶ月の交通費は平均8千円。日雇いバイトを探すためにスマホは必須のため通信費は支払い続けている。これが毎月1万円。その他、散髪したり下着を揃えたりなどの雑費が月に6千円ほどかかるため、ほとんど毎月お金が残ることはない。
ネットカフェ難民は都内だけでおよそ4千人もいると言われている
ネットカフェ難民と呼ばれる人は都内だけで4千人ほどいるそうです。これらの本当に恐ろしいところは、お金が手元に残らないため、現状からなかなか抜け出すことができず、人生が詰んだも同然の状態に陥ると言うことです。現に、ネットカフェ難民というと若者が多いイメージですが、最も多い世代は30代だそうです。現在の30代はリーマンショックや東日本大震災の影響による就職氷河期でまともな就職につくことができなかった人が多く、20代からネットカフェ難民を続けているというベテランも多いことだろうと想像できます。
ネットカフェ難民から抜け出すための節約術
一見詰んでしまっているように思えますが、ネットカフェ難民から抜け出す方法はあると思います。先ほどの支出の内訳を見ているとやはり最も削減したい費用は宿泊費の6万円ですよね。まあ、ネットカフェに宿泊してないならネットカフェ難民では無くなるのですが、まだ21歳と若く、労働意欲はあるのですから、資金が貯まるまでは一旦実家に戻るというのが正解です。それだけで現在の手取りの40%超を占める宿泊費を節約することができます。
次に節約すべきは食費の4万5千円。1日1,500円計算はなかなか贅沢なものです。1食500円で3食がきついのであれば、1日2食にするなり、肉体労働で1日2食はちょっと・・・という場合は日雇いでは無く、まかないが出る飲食関係のバイトをするなりして、食費を節約しましょう。その気になれば月3万円程度で生きることは可能です。最後に節約すべきはズバリ通信費。月1万円支払っているということであればおそらくキャリア契約かと推測されます。実は貧困層こそなぜかスマホはキャリア契約という方が多いです。自分が支払っている費用の見直しなどをしないからそのような結果になるのでしょうが、キャリア契約からMVNOに見直しをするだけで、毎月の通信費は2千円台にまで削減することができます。これらを全て実施した場合の鈴木さんの必要経費はこちら。
宿泊費 6万円→0円(実家暮らしのため。毎月気持ち程度に両親にお金を入れてあげるのはあり)
食費 4万5千円→3万円
通信費1万円→2千円
洗濯代2千円→0円(実家暮らしで洗濯代として支出することはないため。)
交通費 8千円
雑費 6千円
合計 13万1千円→4万6千円
ご両親に毎月3万円程度お金を入れてあげたとしても月額7万6千円と大きくコストダウンすることができました。交通費などは都心から離れれば少し高くなる可能性がありますが、逆に近所で就職ができる場所があるのであれば交通費も削減できますし、交通費を支給してくれるところに勤めれば負担はありません。
さらに言えば、残りの7万円で毎月S&P 500に連動するETFに積立投資を続ければ21歳の彼なら余裕で人生大逆転を狙える年齢です。
現状を打破するか否かは結局自分次第
人生詰んでしまっているように見えるネットカフェ難民でも少しの勇気を持って実家に帰るだけで人生再スタートすることが可能です。結局、現状を打破するのは自分自身なんですよね。お金がないと嘆く人ほど他力本願で責任転嫁をする人間が多いように感じます。投資に関しても全ては自己責任だという話は何度かしていますが、投資に限らず自分の人生は自己責任なんですよ。現状を変えるのは面倒だったり勇気が必要だったりしますが、そこはあなたの人生ですから、あなたが頑張るしかないんですよ。と私は常日頃から考えています。