最近の小学生にお小遣いの使い道をアンケートしたところ、およそ3割程度が貯金すると回答したとのことです。貯金をすること自体はとても素晴らしい心掛けで、無駄遣いをしないという点においては小学生の頃から習慣が身についているのは大変良いことだと思います。
日本には昔から『貯金は美徳』という考え方があり、貯金をすることに関しては超一流です。2018年時点で日本人の個人資産はおよそ1,829兆円という莫大な額なのですが、そのうち現預金の額が961兆円と過半数を占めているそうです。
※家計金融資産の構成比率 2018年3月末時点(日本銀行調査より)
そもそも、この『貯金は美徳』という考え方はどこから来たのでしょうか?
時代をさかのぼると、戦後の日本で復興に必要な資金が足りなかったため、国民からお金を集めるために国を挙げて『貯金は美徳』という思想を植え付けたと言われています。
そのころから随分と日本を取り巻く環境も変化しているというのに、いまだに国民には『貯金は美徳』思想が根強く残っています。
元本保証はノーリスク?
一般的に株式投資を始めない理由として挙げられるのは、「リスクを取るのが怖い」というのが多いです。そういう方々はかなりの心配性なので預貯金に関してはたくさん貯めておられます。では、預貯金はノーリスクなのでしょうか?元本保証されているのだからノーリスクとお考えの方もいらっしゃるでしょうが、答えはNoです。むしろ預貯金はハイリスクノーリターンの金融商品だと断言できます。
預貯金がノーリスクだったのは日本のデフレが異常に長引いたから
私が小学生の頃、マクドナルドのハンバーガーは60円程度でした。小学生同士でマクドナルドに頻繁に通えるほど低価格でした。現在はかなり値上げしましたが、それでも日本では長期に渡ってデフレが続いており、これは異常なことでした。デフレというのは物価が下がり続けるので消費者としては喜ばしいことです。昨日まで80円だったハンバーガーが明日から60円になるのであれば、現金を持っていればどんどん購買力が上がるので預貯金が最強と言えました。
日本でも現金はこれからハイリスクローリターンの時代に突入する
デフレは消費者にとっては良いことでも、長期に渡るデフレの影響で日本企業は利益が出せず、競争力はどんどん低下していき、それが原因で日本株の低迷につながっています。
しかし、現政権はインフレ率2%を目標に掲げているため、今後、物価がどんどん上がっていくことが予想されます。仮にインフレ率が2%に満たなかったとしても、預貯金の利息は現在0.001%程度ですので、とてもじゃないですが貯金だけでは物価の上昇に追い付くことはできません。まさに貯金が最もハイリスクになる時代がすでに来ているのです。
インフレへの対応策は株式投資をすること
じゃあ、我々庶民はインフレに追い詰められてジリ貧になるしかないのかと問われるとそんなことはありません。インフレへの対抗策こそ株を保有することです。先ほど、デフレでは企業は利益が出ないという話をしましたが、逆にインフレで物価が上昇すると利益が上昇していきます。資本主義ではインフレが前提で物価の上昇を伴って経済は成長していくのです。
インフレの状況下では企業は利益が上昇していくのですから、株をただ持ち続けるだけでその利益の上昇の恩恵を受けることができるのです。
恐れずに、はじめの一歩を踏み出そう!
確かに株式投資が怖いという気持ちもわからなくもありません。株価は毎日上下しており、貯金だけしていれば100万円は100万円の保証がありましたが、100万円分の株を購入しても翌日に95万円まで下がるということも往々にしてあります。しかし、株式投資の本質は明日の株価を予想するギャンブルではなく、何十年に渡って保有し続ける価値のある企業の株を買い、持ち続けるというものです。初めは怖いかもしれませんが、少しずつで構いませんので、ハイリスクな預貯金から、優良株へのシフトを始めていくことがこれからの時代は必要だと言えるでしょう。これからは、『投資は美徳』という思想にチェンジしていきましょう。